2014年4月7日月曜日

イエローストーンから動物が逃げ出している?


危険を察知した野生動物がイエロストーン周辺から逃げ出しており、間もなく噴火がおきる、という根拠のない噂が広まっています。

事の起こりは、イエローストーン国立公園内に住む Leo Leckie 氏が3月14日に YouTube に投稿した動画です:

Leckie 氏は、このバイソンの群れが道路上を移動するようすを春の到来を告げる風物詩として紹介しています。バイソンの群れはマンモス・ホット・スプリングス(地図)から東に向かっているとのこと。このような光景は毎年見られるようで、同氏は〝 every Spring  I am blessed to witness them running ... in a celebration of life, in a celebration of the coming richness of the Spring Season ... and running for the sheer joy of being able to!〟と春を迎える喜びを動画に書き添えています。

ところが、3月20日、複数の別人が同じ内容の動画を本来の主旨とはまったく違う以下のようなタイトルで投稿しました:

3月31日になると、次のような記事が登場します。この記事では、バイソンの群れが移動していたのは、イエローストーンで続いている群発地震におびえたか、30日に発生した M4.8 の地震 (イエローストーンでこの規模の地震が起きたのは34年ぶり) を予知していたのではないかという疑問について、イエローストーン火山研究所の科学者に問いただしています。科学者の答えは言わずもがなですが:

同じく3月31日、不安を煽るような記事が登場します。2番目の〝ALERT!〟云々の動画などに触発されて噂が広まったためと思われます:

上記のメディアは、ふだんからイエロー・ジャーナリズム的な記事を掲載することが多いようですが、その後は一般のメディアも追随します。以下は、それらのほんの一部です:

イエローストーン国立公園側は問い合わせが激増したこともあり、3月31日に反論の動画を公開しています:

メディアも噂を否定する記事を掲載するようになっています:

公園側や専門家の話をまとめると、おおよそ次のようになります:
  • 春先に、雪に覆われていない低地の食物を求めて野生生物があちこち移動するのは通常のことである。
  • 動画では動物たちがイエローストーンから逃げ出しているとしているが、実際は、動画に写っている動物たちは国立公園の内部や火山の方向に向かって移動している。
  • イエローストーンで近々に噴火が起きる兆候はない。

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