2016年10月26日水曜日

CME(Coronal Mass Ejection)


NASAが打ち上げた一対の太陽観測衛星STEREO。「衛星」とはいっても実際には太陽の周囲を回っているので人工惑星です。この2機のSTEREOが撮影した画像はNASAのサイトで公開されていますが、以下はその画像の見方を解説した記事です。

注目すべきは、動画(YouTube動画では48秒目あたりから)に写っているCME(コロナ質量放出)というコロナガスの爆発的噴出と、その後に画面が雪が降ったように白くなる現象です。これはCMEによって太陽から放出された光速に近い高エネルギー粒子が、STEREOの撮像素子(CCD)に衝突して残した飛跡です:

福島第一原子力発電所の格納容器内に入ったロボットカメラの画像にも似たような飛跡やノイズが写っていましたが、STEREOに襲いかかった高エネルギー粒子はそれをはるかに上まわっています。

CMEが放出した高エネルギー粒子は、地球の磁場と大気に遮られて地上の私たちの体に害を及ぼすことはありません。しかし、大気圏外の国際宇宙ステーションに滞在している宇宙飛行士たちにとっては深刻な放射線被爆リスクとなります。放射線量が増大すると予報されたときには、シェルター(ステーション内で比較的壁が厚く遮蔽効果の高い場所)に避難することになっているそうです。

STEREOについては以下を参照してください:

CME(Coronal Mass Ejection)は「コロナ質量放出」と訳されることが多いですが、〝mass〟には「質量」という意味の他に「大量の」という意味もあるので、「コロナ大量放出」あるいは「―噴出」とした方が実感に合っているように思います。


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