2015年7月23日木曜日

準惑星ケレスに靄(もや)が漂う


6月12日付「準惑星ケレスに謎の輝点 (続報-3)」の続報です。

今月初め、例の謎の輝点群がある直径92kmのクレーターに〝Occator〟という名前が付けられました。ローマ神話でケレスは農業や豊穣の女神ですが、Occator はその随神(helper god)で、鋤で耕すことを司るとされています。

この Occator クレーター内に靄(haze)のようなものが漂っているのが、ケレスを周回中の小惑星帯探査機ドーンによって観測された、とドーン・ミッションの研究責任者が7月21日に発表しました。靄のようなものは、 Occator クレーターの半分ほどを覆い、クレーターの縁を越えていない、ということです:

以下は NASA が公表している画像です。クレーター中央部の輝点に比べて、その右側の輝点群が滲んだように写っているのは、靄のせいかも知れません:

前出の研究責任者によると、Occator クレーターの真昼時(太陽がほぼ真上から照らす時)に斜め上方の視点から観測すると靄のようなものが見えるとのことです。

謎の輝点の正体については、氷や塩などの結晶という説が出ていますが、2014年にハーシェル宇宙望遠鏡による観測でケレスから水蒸気が噴出しているのが観測されていること(後続の観測による確認はない)、ケレスの質量の少なくとも4分の1は水である(ほとんどの小惑星に比べて異常に高い比率)と推定されていること、そして今回、靄のようなものが観測されたことで、輝点の正体は氷である可能性が高まったと言えます。

ドーン探査機には赤外線分光計が搭載されており、輝点の正体を容易に判別できると考えられますが、以前から短時間の機能停止を繰り返しており、まだ輝点を含む領域の観測ができていないとのことです。


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