2013年3月30日土曜日

定置網にミンククジラ ― 福井県越前町


3月29日、福井県越前町(地図)で、定置網に体長7.2m、体重3.9トンのミンククジラが入っているのが見つかりました。「クジラは数年に1度かかるが、これほどの大きさは久々」:

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2013年3月28日木曜日

東京大学地震研究所の失態 (続報)


3月28日付「東京大学地震研究所の失態」の続報です。

断層を誤認して大失態を演じた「佐藤教授は東北電力東通原子力発電所の敷地内の断層調査にもかかわっており、調査チームは今年2月、『活断層の可能性が高い』との報告書をまとめている」:

反転攻勢の好機到来とばかりに電力会社側が勢いづくのではないでしょうか。


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月がスピカに大接近


今夜、午前0時直前、月がおとめ座の1等星スピカに 0度00分まで接近します。南半球では、月がスピカを隠す掩蔽(星食)が見られます。

おとめ座は形がわかりにくく、またスピカは1等星とはいっても都会の明るい夜空では見つけにくいので、今夜は月を利用して、おとめ座やスピカを見極める良い機会だと思います。

関東地方では、午後7時過ぎに月とスピカが東の地平線から昇ってきますが、この時すでに両者はかなり接近しています。午前0時には南の空、地平線からの高度約40度に月とスピカが並んで輝いているはずです。

おとめ座とスピカについて『星の神話伝説集成』(野尻抱影、恒星社、1955)から引用します:
この星座を、おとめ或いは女神の姿と見たのは、一等星スピーカが、すみ切った美しい白光で輝いているためとする学者が多い。これは、東に約三十度をへだてた、うしかい座のアルクトゥールスの、はなやかな金じきと見くらべると、よくうなずける。まことに、胸のおくまでも清められるような色と瞬きで、日本の名「しんじゅ星」も、よくこれを生かしている。

すがすがしい美しさのスピカ(写真)と、全天最美の二重星といわれるアルビレオ(はくちょう座ベータ星、写真)は、ぜひ一度、天体望遠鏡を通してご覧になることをお勧めします。

なお、スピカのそばを掠めるように通り過ぎた月は、30日(土)には土星に3度21分まで近づきます。


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地を這う虹 ― フランス・パリ


12年11月2日付「地を這う虹」では、チリ南部に現れた地平線すれすれの虹を紹介しましたが、今度はフランスのパリで先週撮影されたものです。オーロラのようにも見えます:

写真につけられている解説の一部をテキトー訳します:
撮影された虹は、実は普通の虹に過ぎません。珍しく見えるのは、虹の出ている時の太陽が非常に高い位置にあるからです。虹の中心は精確に太陽の対蹠点(観察者を挟んで太陽と正反対の位置)にあるので、高度の高い太陽が遠方の雨滴に反射すると、頂上部だけが見える低い虹が見えることになります。この時、虹の残りの部分は地平線の下にあるのです。

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河口湖の水位が大幅低下 ― 山梨県河口湖町 (続報)


3月24日付「河口湖の水位が大幅低下 ― 山梨県河口湖町」の続報です。

日刊ゲンダイ』の記事です。「関東大震災の直前に山中湖の水が全面的に濁り、精進湖は6メートル程度、水位が下がった」:

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東京大学地震研究所の失態


東京大学地震研究所を中心とする研究グループは、立川断層は「横ずれ型断層の可能性が高い」と今年2月に発表していましたが、誤りだったようです。

いちばん辛辣に伝えているのは『産経ニュース』です ―― 「地下に埋め込まれたコンクリート製とみられる柱状の人工構造物を断層活動で動いた石と思い込み」、「見学者から『人工物ではないか』との指摘を受け、再調査で誤りが判明」、「この場所にあった工場の基礎工事で打ち込まれたコンクリート製のくいの可能性もある」:

単独の学者ではなく、専門家の研究グループがおこなった調査結果に初歩的な誤りがあったということですが、グループに属していた専門家の皆さんは見学者に指摘されるまで誰も疑いを差し挟まなかったのでしょうか。思い込みというのは恐ろしいものです。

原子力発電所の立地調査でも断層の有無や走向、動いた年代などが重要なポイントになりますが、電力会社と規制委員会のどちらが実施するにしろ、「専門家」がおこなう断層の調査はどの程度信頼のおけるものなのでしょうか。


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地震急増 ― カナリア諸島


カナリア諸島エル・イエロ島(地図)の西側海底で、3月18日から、地震が急増しています。比較的規模の大きな地震も含まれ、島の西端部では10日間で10cm近い隆起が観測されています。今のところ、ほとんどの震源の深さは10~20kmにとどまっており、海底で噴火が起きている兆候はないとのことです:

以下は、IGN(Instituto Geográfico Nacional)のサイトに掲載されている震央地図です(逐次更新されています):

同島では、南岸近くで起きていた海底火山の噴火が昨年3月に終息し、その後はときおりマグマの貫入にともなうとみられる群発地震が起きていました。

カナリア諸島は、カナリア・ホットスポットの上に形成された島々です。


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2013年3月27日水曜日

ヘクラ山が活発化 ― アイスランド


3月26日、アイスランド南部のヘクラ山(地図Webカメラ)で異常な地震活動が観測され噴火の恐れが高まったため、防災当局は “level of uncertainty” を宣言し、避難誘導などにあたる部署が待機体制に入りました。航空路に影響が出る可能性があるため、アイスランド気象庁はヘクラ山の監視レベルを一段階上げて “イエロー” としました。目視による観測では、現時点でヘクラ山に噴火の兆候は見られないようです:

地震は 3月10日に山頂カルデラの北西側で始まりました。現時点では震源は比較的深いところに分布しており、山体の膨張なども観測されていないことから、噴火がすぐに起きることはなさそうです。

ヘクラ山が最後に噴火したのは 2000年です(当時の写真)。


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神に祈ることしか ・・・


2月15日、ロシア上空で隕石が爆発し多数の負傷者が出る事件がありました。その1時間後には、直径約45mの小惑星〝2012 DA14〟が静止衛星の軌道の内側を通り抜けるという記録的大接近をしました。地球という惑星のおかれている危うい状況 ―― 大気という薄衣(うすぎぬ)をまとっただけで砲弾飛び交う戦場を駆け抜けている ―― を実感させられた1日でした。

3月19日、アメリカの連邦議会下院科学委員会が開いた聴聞会で ――
ビル・ポージィ議員(フロリダ州選出、共和党): もし、地球との衝突コースに乗っている大きな小惑星が今日発見され、衝突まで3週間しかないとわかった場合、NASAはどのような対応をとるのですか? 
チャールズ・ボールデン NASA長官: 議員へのお答えですが、もし衝突まで3週間しかないとしたら、NASAにできるのは祈りなさい(神に祈りを捧げて救いを求めなさい)とアドバイスすることだけです。NASAが3週間ではなすすべがないのは、(予算不足のせいで対策を講じるのを)これまで何十年にもわたって先送りしてきたからです。

詳しくは以下の記事を参照してください:

以下は、上記『ロイター』の記事から抜粋・翻訳したものです:
NASAは、地球に接近する直径1km以上の天体の95%をこれまでに発見し、監視している。ホワイトハウスの科学アドバイザーであるジョン・ホルドレン氏は、「1kmかそれを上まわるサイズの小惑星は人類の文明を滅亡させる可能性がある」と、同じ聴聞会で証言している。 
その一方で、一つの都市を消滅させる可能性があるため〝シティ・キラー〟と呼ばれる直径50m前後の小惑星は総数1万個と推定されているが、その約10%しか見つかっていない。このサイズの天体は、平均して約1000年に1度の頻度で地球に衝突すると推定されている。

〝シティ・キラー〟が地球に衝突する頻度は約1000年に1度とされていますが、1000年に1度といわれる巨大地震を経験したばかりのわれわれは、それをどのように捉えたらよいのでしょうか。

以下は、小惑星の衝突によってどんなことが起きるのかを示した動画です。「地殻津波」と「岩石蒸気」がキーワードです:

以下の動画は、上の動画を見た後でご覧ください:

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2013年3月25日月曜日

ホテイエソ捕獲 ― 神奈川県小田原市


3月18日、神奈川県小田原市沖の定置網(地図)に深海魚のホテイエソが入ったとのことです:

写真で見る限りでは、あごの下に発光ひげがないことや、上あごが湾曲していることなどから、ヒレナガホテイエソ()に近い種のように思えます。


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2013年3月24日日曜日

河口湖の水位が大幅低下 ― 山梨県河口湖町


富士五湖の1つ、山梨県の河口湖(地図)の水位が大幅に低下していることについて、メディアの報道が増えています。

「最近10年間で最も低い水位を記録した」、「富士五湖の中で他の湖の減少幅は小さく、河口湖だけが大幅に水位が低下している理由については、専門家も『よく分からない』と首をかしげている」:

「現在、富士山の北北西の方で、微動や傾斜変動があるんですが。例えば、河口湖の湖底に割れ目が入り、水が(地下に)流れることがあるかもしれないが、傾斜変動や微動が直接、河口湖の湖面の低下に関係があるともないともはっきり言えない」(水位が大幅に低下した原因について、東京大学の笠原順三名誉教授):

水位低下の原因について、「一帯の降水量が少なかったというのが一つ。しかし、山中湖は水量が増えていますので地元の方は納得していません。富士山噴火や箱根山の地震との関係について専門家にも聞いてみましたが、富士山噴火の兆候は見られないし、2月下旬以降は箱根山の地震は少ないといことで、結局、原因はわからないということでした」:

「1997年には『今より1m以上下がっていた』」、「以前に水位が低下したときにも、『似たような下がり方だったと思う』という。つまり、今回だけが特別と言うことはないようだ」:

なお上記の記事で、「3月1日から4日にかけて水位が6mも急激に下がった」とネット上で騒がれていることについて、県の担当者は次のように答えています:
そういったことはないですね。ネットで数値を公開しているのですが、河口湖の計測器に不具合が出ていて、現在は公開をやめています。3月頭に機器を補修した時に、変な数字が一瞬表示されていたんです。それをご覧になったのでは。

気象予報士・森田正光さんのブログ『チーム森田の“天気で斬る!”』でも河口湖の水位低下を取り上げています。「理由はわかりません。雨が少ない、富士山の雪融けが遅いなど、理由はいくつか考えられるものの、降水量も、気温も、今年だけ際立って異常値が出ているわけでもありませんし、富士山近辺の他の湖では同様の現象は現れていないようです」:

上掲の記事で、笠原名誉教授は「現在、富士山の北北西の方で、微動や傾斜変動があるんです」と述べています。3月12日の火山噴火予知連絡会で使われた資料「その5-2(弥陀ヶ原~富士山) 」(PDF形式、8MB)には、そのような傾斜変動の情報は載っていません。その一方で、92ページに載っている「図6 富士山 太郎坊観測点における傾斜変動」のキャプションには:
  • 静岡県東部の地震(2011年3月15日、M6.4)の発生後、及び山梨県東部・富士五湖の地震(2012年1月28日、M5.4)の発生後に北東下がりの傾斜変動がみられる。
  • 火山活動によるとみられる傾斜変動は認められない。
との記述があります。太郎坊観測点は富士山頂から東南東の方向にあります。

2010年から異常湧水が報道されている静岡県富士宮市淀師(地図)は、富士山を挟んで河口湖とは反対の位置にあります。富士山の北では水が減り、南では異常湧水が起きているということになります。富士宮市の異常湧水については、下の関連記事をお読みください。

富士五湖の水位は、下記の国土交通省の水位観測データで見ることができます。現在、河口湖だけは測定の下限を下回ったためか、水位が表示されません:

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2013年3月23日土曜日

「明治前期の低湿地データ」を公表


国土地理院が「明治前期の低湿地データ」を公表しています。アベノミクスで値上がりする前に土地を買おうとしている方、自分の住んでいる場所は地震で液状化しないだろうかと不安な方などには有益な情報でしょう。「明治後期以降に埋立てや盛土が行われた土地について、明治前期の土地利用がわかるため、液状化の発生要因である『地下水位が高い』『地盤の締まりが緩い』土地を判断するうえで利用することができます」:

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サケガシラ捕獲 ― 島根県隠岐西ノ島町


3月15日、島根県隠岐西ノ島町(地図)沖で、深海魚のサケガシラが捕獲されました。体長1.15m、重さ1.5kg。海面を泳いでいるところを、ボートからすくい上げたとのこと:

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原因不明の振動 ― 沖縄県沖縄本島


3月19日から21日にかけて、沖縄本島各地で原因不明の振動が相次いでいます。「振動の情報は複数入っているが、原因は分からない」、「地震計はまったく動いていない」(沖縄気象台):

『沖縄タイムス』の記事には、振動が確認されたのは「本部町、名護市、今帰仁村、読谷村、宜野湾市、那覇市、南城市」とあります。南城市を除けばいずれも太平洋側ではなく東シナ海に面した市町村です。沖縄近傍の東シナ海には2つの活火山がありますが、そのいずれかが噴火して空震が発生したのでしょうか。そうだとしたら、噴火の通報がありそうなものです。いずれも有人の島に近いところにありますから:

海外のニュースを漁っていると、特に北米で、割と頻繁に「なぞの振動」を報じる記事に出くわします。ほとんどは軍用機か鉱山の発破が発生源ということで落着するのですが。また、日本でもまれに原因不明の振動が伝えられることがあります。下記の「関連記事」をご覧ください。


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ザトウクジラ漂着 ― 沖縄県読谷村


3月20日、沖縄県読谷村(地図)の海岸にザトウクジラ1頭が漂着しました。体長約10mで、すでに死んでいました。「ザトウクジラは、1~3月にかけて沖縄近海で確認されることが多いが、死体が流れ着くことはあまりない」:

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巨大なロール状の雲 ― 新潟県佐渡市


3月20日、佐渡市相川(地図)西方120kmの日本海上空で、海上保安庁の飛行機が長さ10km以上、幅約1.8kmの巨大なロール状の雲に遭遇しました:

同様の雲は、オホーツク海上空に現れたことがあります。詳しくは以下をどうぞ:

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2013年3月21日木曜日

ドミニカ共和国


ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)はドミニカ共和国の優勝で幕を閉じました。ところで、WBC参加国の中には他にも共和国があるにもかかわらず、なぜドミニカだけが報道などで「共和国」と明記されるのでしょうか。

以下は、対戦組み合わせです。キューバ、ベネズエラ、イタリアなども共和国です:

第1ラウンドで戦った国々の日本語での正式名称は次のとおりです:
  • Pool A ― 日本国、中華人民共和国、キューバ共和国、ブラジル連邦共和国
  • Pool B ― 大韓民国、オランダ王国、オーストラリア連邦、中華民国
  • Pool C ― ベネズエラ・ボリバル共和国、プエルトリコ米国自治連邦区、ドミニカ共和国、スペイン
  • Pool D ― アメリカ合衆国、メキシコ合衆国、イタリア共和国、カナダ

「なぜドミニカだけが」の答えは、ドミニカ共和国とは別にドミニカ国という国家が存在するから、です。詳しくは、下記をご覧ください:

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2013年3月20日水曜日

十勝岳山麓の温泉成分に変化 ― 北海道


3月12日に開かれた火山噴火予知連絡会で使われた資料「(その7) 北海道地方」(PDF形式、11MB)の37~38ページに、「地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 地質研究所」の測定結果が載っています。それによると、十勝岳(地図)西麓の 「吹上温泉・ベンガラ温泉・白銀荘泉源では、2012年に入り 1988-89 年噴火前に認められた Cl/SO比の上昇傾向が認められるようになった」 とのことです。

十勝岳周辺の温泉の Cl/SO4 比の時間変化 (クリックで拡大)
Credit: 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 地質研究所

昨年、十勝岳では火口付近で発光現象がたびたび目撃されたり、火山性地震の増加があったりしました。温泉成分の変化はこの時期と一致しているようです。


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有珠山で地殻の伸び


3月12日に開かれた火山噴火予知連絡会で使われた資料「(その8)その他の火山 (地理院)」(PDF形式、17MB)には、国土地理院がおこなっているGNSS連続観測の結果が73の火山についてまとめられています。

73の火山のうち、72の火山では「GNSS連続観測結果には特段の変化は見られない」となっているのですが、13ページの有珠山(地図)だけは「有珠山を囲む基線ではわずかな伸びの傾向が見られる」と記載されています。掲載されているグラフを見ると、2013年に入ってから、「虻田-壮瞥」や「虻田-M火口原A」などで伸びの傾向、「伊達-M火口原A」では縮む傾向が見られるようです。

グラフ右端の観測値は速報解のようですが、それを信じるならば、「伊達-虻田」や「虻田-M火口原A」では1月下旬になって伸びの傾向が急に加速しているようです。

2014年、彗星衝突か? (その3)


2月28日付「2014年、彗星衝突か? (その2)」からの続きです。

以下は、NASAが〝2013 A1〟(サイディング・スプリング彗星)について発表している資料です:

以下は、上記資料の抜粋・翻訳(拙訳)です:
NASAジェット推進研究所(カリフォルニア州パサディナ)の地球近傍天体(NEO)プログラム・オフィスによる最新の軌道計算では、〝2013 A1〟(サイディング・スプリング彗星)は火星から30万km以内を通過しますが、この距離よりももっと火星に近いところを通過する高い可能性があります。NEOプログラム・オフィスが2013年3月1日までの観測結果にもとづいて推計したところでは、この彗星は火星の表面から約5万kmのところを通過します。この距離は、最外側を周回する衛星ダイモスと火星表面の距離の約2.5倍に相当します。[訳注:地球から月までの距離は約38万km、気象衛星や放送衛星などの静止衛星までは約3万6000km。] 
科学者たちは2012年10月までの観測で得られたデータにもとづいてサイディング・スプリング彗星の軌道を計算しました。さらに多くの観測データが集まるにつれて、軌道計算の精度は向上します。現時点で言えることは、火星はサイディング・スプリング彗星が取りうる軌道の範囲内にあり、衝突の可能性が排除できないということです。しかしながら、衝突の可能性は現時点で600分の1未満であり、今後の観測がもたらすデータによって火星への衝突の可能性が完全に排除できることでしょう。 
火星への接近中、サイディング・スプリング彗星は、火星上の探査機[訳注:オポチュニティやキュリオシティ]から見て0等級かそれ以上の明るさになると見込まれます。地球から見た場合、サイディング・スプリング彗星は肉眼で見えるほどの明るさにはならないと予測されますが、8等級ほどの明るさになるので、南半球では2014年の9月中頃に双眼鏡や望遠鏡を使って観測できるようになるでしょう。 
サイディング・スプリング彗星は太陽系外側のオールトの雲から100万年以上の旅をしてやって来た、とNEOプログラム・オフィスの科学者たちは推定しています。短周期の彗星はたびたび太陽に接近するために揮発性のガスが欠乏していることが多いのですが、この彗星はそれをたっぷりを持っている可能性があります[訳注:長く立派な尾を引いて明るくなる可能性がある]。

(続く)

活断層と原子力発電所


3月8日付「箱根山群発地震と富士山噴火」で紹介した『日本の火山を科学する』(神沼克伊・小山悦郎、サイエンス・アイ新書、2011;書評)には、火山とは直接関係のない内容のコラムも掲載されています。「活断層と原発」と題したコラムでは、島根半島にある宍道断層が中国電力島根原子力発電所地図)にもたらすリスクをどう考えるべきかについて述べています。以下はその抜粋です:
島根半島の活断層は1995年以後の見直し調査で発見され、宍道断層と名づけられ、C級に属します [注:平均のズレ速度が1年あたり0.01~0.1mm]。 
「活断層の長さがこれまでの予想以上に長い。だから大地震が発生する」と学者は強調します。では、その大地震はいつ起こるのでしょうか。鳥取県西部から島根県全域にかけては、『出雲風土記』の書かれた時代から今日までの千数百年間に、被害をともなうような地震は3回しか起こっていません。880年の出雲地方の地震(M7)、1872年の浜田地震(M7.1)、2000年の鳥取県西部地震(M7.3)です。1978年の鳥取県中部の地震(M6.1)、1989年の鳥取県西部の地震(M5.4)がありますが、被害はほとんどありませんでした。 
この地方は大地震に見舞われることがきわめて少ないのです。原発が今後100年間稼働したとしても、その間に宍道断層が動いてM7クラスの地震が起こることはほとんどないと考えるほうが自然です。また、原発の建物は耐震性です。過去の地震活動も原発の耐震性も考えず、断層の長さだけから原発の危険性を説く学者の態度は、ただ不安をあおるだけの無責任な発言です。

原発の稼働期間と活断層の活動サイクル、人間の営為と地質学的な時間尺度を比較すれば、当該原発の稼働期間中に、近傍の活断層が動いて大地震が起きる確率が非常に小さいことは理解できます。

上記書籍の初版が出版されたのは2011年2月25日です。それから2週間後、東北地方太平洋沖地震が発生し、福島第一原子力発電所ではメルトダウンが起きてしまいました。原発直近の活断層が動いたわけではありませんが、コラムを書かれた方はどう思われたでしょうか。


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2013年3月19日火曜日

3月25日、小惑星が地球に衝突?


欧米でインターネット上にうわさが流布しています。日本でもすでに広まっているかも知れません。

さまざまなバージョンがあるようですが、3月25日に直径300m(半マイルとするものあり)の小惑星 DA2013cl2 が大西洋(カナダやメキシコとするものあり)に落下し、沿岸は巨大な津波で壊滅、生き残った人たちも数ヶ月のうちに死に絶え、人類は絶滅するというのが大まかな内容です。当局はパニックを避けるために真実を隠している、というお決まりの言い訳も添えられています。先月ロシアに落下した隕石(直径17m、重さ1万トン)も、この小惑星の一部が分裂したもので、3月25日には本体が地球に衝突するのだ、との尾ひれがついているものもあります。以下はうわさの一例です:

このうわさは全くの作り話です。明快な反論が以下にありますので、翻訳しました:
現在、ある作り話が広まっています。ハーバート・レイモンド・ブラウン教授なる人物からのもので、DA2013cl2 という直径300mの小惑星が、3月25日に大西洋(あるいはカナダ、あるいはメキシコ)に衝突する、というものです。この衝突によって、数百万人が死亡し、残りの人類もその後すべて死に絶えるとされています。 
これは作り話です。作り話であることはいくつもの証拠によって明らかです。
  1. 物語に添えられている写真は〝C/2011 L4〟パンスターズ彗星のものであって、小惑星ではありません。

  2. 〝DA2013cl2〟は実在の小惑星の名前ではありません。小惑星のうち、〝4 Vesta〟のような固有名を持つもの以外は、〝2012 DA14〟のように、年、アルファベットの識別子、数字の識別子を組み合わせて命名されます。〝2013 CL2〟という名前の小惑星は実在しますが、地球のそばにやって来ることはありません。〝2013 CL22〟という小惑星も実在しますが、2064年に地球に衝突する確率が 1千万分の1 とされており、うわさの内容とは合致しません。

  3. 直径300mの小惑星による衝突は、TNT火薬換算で1110メガトンのエネルギーを放出し、直径4.6kmのクレーターを形成する深刻なものですが、人類の文明を滅ぼすほどの威力はありません。白亜紀と第三紀の境目で衝突し恐竜を(少なくとも部分的に)絶滅に追いやった衝突天体は直径10km程度とされています。

  4. この作り話を広めているさまざまな投稿(書き込み)を別として、ハーバート・レイモンド・ブラウンという名の天文学教授は存在しません。

  5. 災害をもたらす可能性のある小惑星のリストには、(今のところ)いかなるハイリスクの小惑星も見当たりません。

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2013年3月18日月曜日

海岸に変色水域 ― 静岡県東伊豆町


3月12日に開かれた火山噴火予知連絡会で使われた資料「その5-3(箱根山~伊豆東部火山群)」(PDF形式、15MB)の末尾に、「伊豆片瀬」と題した1ページが添えられています。2012年12月26日に、「片瀬海岸に乳白色及び薄緑色の変色水を視認した」として海上保安庁が同日に上空から撮影した写真2葉が掲載されています(周辺地図)。

これは、一般の方からの通報によって調査がおこなわれたのだと思われます。下記のページに、2012年11月15日付で海上保安庁への問い合わせと、回答が載っています。「当該海域における変色水については海上保安庁ではこれまで認識しておりませんでしたが、 (中略) 衛星写真を調べてみると2011年1月31日の写真に白っぽい変色水が写っているのが確認できましたので、少なくともここ2年間くらいは定常的に存在しているようです」:

変色水域は少なくとも2年程度まえから存在しており、新たに出現したわけではないようです。

上記のページには、地元の熱川(東伊豆町奈良本)在住の人が、変色水域は火山活動ではなく海岸や海底からの堆積物の巻き上げや川からの流入によるものだ、と必死に主張しているログが残っています。東伊豆町奈良本は温泉旅館が多いところなので観光業界の人かと思いましたが、不動産業の方でした。


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箱根山が山体膨張 ― 神奈川県 (続報-9)


箱根山が山体膨張 ― 神奈川県 (続報-8)」の続報です。

3月12日に開かれた火山噴火予知連絡会で使われた資料「その5-3(箱根山~伊豆東部火山群)」(PDF形式、15MB)には、いくつか興味深い事実が記載されています:
  1. 山体膨張は、傾斜計とひずみ計では鈍化の傾向がみられるが、GPSの観測では膨張が継続している。

  2. 2月5日の観測で、上湯(地図)バス停付近の路肩で地表面の温度が上昇していた。

  3. 大涌谷駅(地図)の南西約300mの地点で、深さ50~70cmの地中温度が100.0~102.1℃に達していた。

  4. 2月5日の観測で、大涌谷の噴気量が前回(2007年12月)、前々回(2006年10月)と比べて増加していた。

  5. 今回のようなまとまった地震活動は、2001年、2006年、2008~2009年などにも観測されているが、傾斜変動が観測されたのは規模の大きかった2001年と今回だけ。2001年の地震活動の際には、大涌谷の蒸気井の暴噴が起こった。また、地震活動が終わった後に上湯場(大涌谷の北側斜面)で噴気・地熱地帯の拡大などが起きた。

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蔵王山で連続低周波地震 ― 宮城県 (続報-2)


宮城・山形県境にある蔵王山で1月下旬に低周波地震が連続して発生したことは、2月1日付の「蔵王山で連続低周波地震 ― 宮城県」と「蔵王山で連続低周波地震 ― 宮城県 (続報)」で既報ですが、それらは気象庁の発表にもとづくものでした。

3月12日に開催された火山噴火予知連絡会定例会で使われた「第125回 火山噴火予知連絡会資料 (その6) 東北地方」(PDF形式、13MB)で、蔵王山について気象庁は次のように説明しています:
2013年1月22日09時台と27日の09時台を中心に、蔵王山付近を震源(やや深い場所と推測とする低周波地震が一時的に連続して発生した。それ以外の期間、火山性地震は少ない状況で経過し、期間を通して空震計及び表面現象に変化は認められなかった。 
火山性微動は観測されなかった。

同じ資料には東北大学の観測結果も入っているのですが、超長周期震動、火山性微動、地殻変動(傾斜変動)が観測されていた点で気象庁の説明と異なっています:
火山性微動・低周波地震の活動にともない超長周期震動が発生した。 
蔵王山では、2013年1月22日~28日に、火山性微動ならびに低周波地震が繰り返して発生した。この中で、22日に3回の超長周期震動が認められた。 
超長周期震動の震源域は、刈田岳の南側、深さ数kmと推定される。 
推定された震源域は、過去の群発地震活動域に対応。傾斜変動とも調和的。

追加資料(PDF形式、3MB)によると、傾斜変動は3月に入っても継続中とのことです。

なお、超長周期震動は海外や日本の他の火山でも観測されています。ほとんどの場合は、マグマ溜まりの膨張・収縮、あるいは増圧・減圧運動によるものと推定されているようです。


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2013年3月17日日曜日

20の火山が 3・11 後に活発化


3月12日、火山噴火予知連絡会定例会が開催されました。この会議で配付された資料に「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後に地震活動の活発化した火山」(PDF形式)というわずか2ページの文書があります。

この資料には、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の当日、あるいはその直後から地震活動が活発化した20の火山がリストアップされています。それによれば、震源からはるかに離れた九州の鶴見岳・伽藍岳九重山阿蘇山、薩南諸島の中之島諏訪之瀬島も3月11日以降地震が増えており、大地震の影響の広がりに驚かされます。

上記リストに載っている20の火山のうち、17の火山では翌月の4月、あるいは翌々月の5月までに「平常」状態にもどっていますが、北海道の丸山は10月下旬、中部地方の焼岳は翌2012年の1月までかかってやっと「平常」状態に落ち着いています。

残りの3つの火山は2013年3月12日の時点でも「平常」状態にはありません。

この3つの火山のうちの1つ目は日光白根山です。東北地方太平洋沖地震の翌日にM4.5、最大震度4の地震が発生し、1年半後の2012年秋になってようやく「平常」に落ち着きました。しかし、2013年2月25日にM6.3、最大震度5強の地震が発生し、現在も「減少傾向」にはあるものの、地震活動は終息していません。

2つ目は箱根山です。東北地方太平洋沖地震の直後から群発地震が発生し翌4月中旬まで継続しました。この間のM4.2、最大震度2の地震が発生しています。2013年1月中旬から再び群発地震が起こり、現在も「減少傾向」にあるものの継続しています。

3つ目は富士山です。東北地方太平洋沖地震から4日目の3月15日、M6.4、最大震度6強の大きな地震が発生しています。この時以来、地震活動は続いており、現在も「減少しながら継続」とされています。

なお、リスト外の注釈として「弥陀ヶ原については、地震活動が活発化した領域が山体から外れているため、上のリストには含めていない」と書かれています。


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パンスターズ彗星が近日点通過


3月10日、パンスターズ彗星(C/2011 L4)が近日点を通過しました。そして、日本を含む北半球でも見えるようになってきました:

まだ太陽に近い位置にあるので、日没直後の西の地平線近くに見え、1時間ほどで地平線下に沈んでしまいますが、3月下旬からは朝夕2回、日の出前と日の入り後に見えるようになるということです。発見当初はかなり明るくなると期待されていたのですが、現在の予想では最大でも2等級前後で、現在はその一歩手前の明るさであるようです。日没の直後はまだ空が明るいので、肉眼で見つけるのは困難かも知れません。双眼鏡を用意した方が良いようです。

パンスターズ彗星を見つけるには以下のページを参照してください。毎日、更新されています:

パンスターズ彗星についての総合的な解説は以下にあります:

パンスターズ彗星の静止画と動画をいくつか紹介します:

なお、「パンスターズ」は彗星発見に使われた望遠鏡(設置場所はハワイ州マウイ島のハレアカラ山頂)の名前であり、同望遠鏡を運用しているプロジェクトの名前でもあります。パンスターズ(Pan-STARRS; The Panoramic Survey Telescope & Rapid Response System)計画は、地球近傍の小惑星や彗星などを監視し、地球に衝突する可能性のある天体を発見することが第一の目的です。

これまでに「パンスターズ彗星」と名付けられた彗星は28個あります。現在見えているパンスターズ彗星を他のパンスターズ彗星と区別するためには、〝C/2011 L4〟という番号を使う必要があります。

今回のパンスターズ彗星は期待されたほどは明るくなっていません。その一方で、今年11月末に近日点を通過し、12月26日に地球に接近するアイソン彗星(ISON、C/2012 S1)は非常に明るく、「世紀の大彗星」になるとの予想もありますので、そちらに期待したいと思います。


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2013年3月16日土曜日

イルカが集団座礁 ― 和歌山県田辺市


3月14日、和歌山県田辺市の内之浦湾(地図)に、数頭のスジイルカが迷い込み、4頭が海岸に乗り上げて死亡しました。1頭は体長2.5mで老体、他の3頭は体長2.3m前後。「こんな奥まで入ってくるのは珍しい」(漁業関係者):

翌日の3月15日には、静岡県浜松市の海岸にカマイルカが乗り上げています:

3月3日には、和歌山県和歌山市の海水浴場にイルカが迷い込んでいます:

和歌山県や三重県ではクジラやイルカの異変が続いています:

2012年以降に紀伊半島周辺から遠州灘にかけて発生したクジラやイルカの異変をリストアップすると以下のようになります:

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イルカが浜に乗り上げる ― 静岡県浜松市


3月15日、静岡県浜松市西区舞阪(地図)の海岸の砂浜に、体長約1.5mのカマイルカが乗り上げました。「カマイルカは日本海側に多く生息し、太平洋側ではめずらしい」、「寄生虫が耳に入り、方向感覚が失われ群れからはぐれたのではないか」:

浜松市によると、昨年1月にも同市南区米津町(地図)の浜にカマイルカが上がったことがあるとのことです。


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2013年3月10日日曜日

箱根山が山体膨張 ― 神奈川県 (続報-8)


3月8日付「箱根山が山体膨張 ― 神奈川県 (続報-7)」の続報です。

なぜ、この時期にと思うのですが、箱根山について「安全宣言」ともいえる文書が発表されました。下記の記事(朝日新聞)によれば、気象庁と神奈川県温泉地学研究所が主体となって出された文書のような印象を受けますが、実際は「箱根火山対策連絡会議事務局」(箱根町総務部総務課)というところが要求・主導したのではないでしょうか。地元の利害に配慮せざるを得ない県の研究所はともかく、気象庁までがこのような文書を掲載するというのも意外な印象を受けます:

春休みや春の観光シーズンを控えた週末前の金曜日にこのような文書が出されたというのも、なんだか意味深長です。まさかとは思いますが、その裏には観光業界の圧力があって、今後、気象庁や温泉地学研究所の箱根山に関する情報公開が何らかのバイアスを帯びたものになる、あるいは自粛して限定的・消極的になる、などということがないように願いたいものです。情報を隠せば隠すほど疑心暗鬼を生み、観光業者が最も恐れる風説が広がります。

箱根町のサイトに掲載されている3月8日付「安全宣言」文書:

神奈川県温泉地学研究所のサイトに3月8日付で掲載された文書。最後の段落を除いて、箱根町が掲載している文書と同一です:

気象庁のサイトに3月8日付で掲載された文書(全18ページ)。1ページ目は箱根町の文書と同一です。2ページ目から3ページ目にかけて、観測事実や過去の事例が簡潔にまとめられています:

以下は、上記気象庁の文書にある「観測事実」からの抜粋です:
2013年1月初旬から微小な地震活動が観測され始め、1月中旬頃からやや増加し始めました。その後、2月10日と16日などにやや大きめの地震が発生しましたが、2月18日頃からは地震活動が収まりつつあります。 
今回の地震活動で、気象庁が情報発表に用いている湯本の震度計で震度1以上を観測した地震はありません。温地研が独自に大涌谷に設置した震度計では、これまでに震度1~3相当の揺れになった地震を合計10回程度観測しています。 
上記の地震活動は深さ0~4km程度の浅い場所で発生しています。ですので、地震の原因はマグマの直接の影響ではなく、地下深部の変化の影響を間接的に受けたものです。 
これらのことから、現在は噴火を心配するような状況にはありません。ただし、浅い微小な地震は熱水や火山性ガスの上昇が関係して起きていることも考えられます。それらが、局所的でも地表に現れた場合には、注意が必要です

以下は、同文書の「過去事例」からの抜粋です:
この中では、2001年の活動が最も規模が大きく、今回よりも多くの地震が観測されました。また、地殻変動量も大きく、地震活動の期間中に大涌谷の蒸気井の暴噴が生じたほか、地震活動が終わった後に上湯場で噴気・地熱地帯の拡大などの変化が現れ、今も継続しています。

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2013年3月9日土曜日

リュウグウノツカイ捕獲 ― 佐賀県唐津市


3月8日、佐賀県唐津市の神集島(地図)の沖で、体長約4mのリュウグウノツカイが定置網に入りました。「同魚はシーサーペント(大海蛇)や人魚、あるいは地震または大漁の前兆など様々な言い伝えを持っている」:

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2013年3月8日金曜日

阿蘇山で孤立型微動が増加 (続報-2)


3月1日付「阿蘇山で孤立型微動が増加 (続報)」の続報です。

気象庁が3月8日に発表した「平成25年 No.10 週間火山概況(3月1日~3月7日)」によると、阿蘇山(地図)で発生している孤立型微動(注)が激減しました。先週の「概況」では「1日当たり300回以上」となっていましたが、「3月4日以降は1日あたり2~6回に減少」したとのことです(グラフ):
中岳第一火口では、2月11日以降から孤立型微動が1日あたり200回以上と多い状態が継続していましたが、3月4日以降は1日あたり2~6回に減少しました。 
4日、5日、6日に実施した現地調査では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり400トン(前回2月21日300トン)と少ない状況でした。また、湯だまり量は9割、温度は56~58℃(前回2月27日、湯だまり量9割、温度54℃)と湯だまりの状況に特段の変化はありませんでした。

(注) 孤立型微動 ――  阿蘇山特有の微動で、周期0.5~1.0秒、継続時間10秒程度で振幅が5μm/s以上のもの。火口直下の浅いところの熱水の活動と関連しているとされ、火山活動が活発化していくとその回数が増加することがある。


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箱根山が山体膨張 ― 神奈川県 (続報-7)


3月1日付「箱根山が山体膨張 ― 神奈川県 (続報-6)」の続報です。

気象庁が3月8日に発表した「平成25年 No.10 週間火山概況(3月1日~3月7日)」によると、箱根・駒ヶ岳(地図)周辺の地震活動は沈静化しているようです。地震の数は少ない状態で推移しており、有感地震もありませんでした。山体の膨張については、先週の「週間火山概況」では、1ヶ所の観測点で「鈍化する傾向がみられる」とされていましたが、今週は、複数の観測点に鈍化の傾向が広がっています:
駒ヶ岳付近から千石原付近の浅部を震源とする地震活動は、今期間は少ない状態で経過しています。遠望カメラによる観測では、噴気の状況に特段の変化はみられていません。今期間、気象庁が震度情報の発表に使用する震度計で、震度1以上を観測する地震はありませんでした。また、神奈川県温泉地学研究所によると、同研究所が大涌谷に設置している地震計でも体に感じる揺れは観測されませんでした。 
気象庁が湯河原鍛冶屋に設置している体積ひずみ計や、気象庁及び神奈川県温泉地学研究所が設置している傾斜計では、1月上旬頃から、山体の膨張を示すわずかな変化が引き続きみられていますが、2月中旬頃から鈍化する傾向がみられます。国土地理院の地殻変動観測結果では、2012 年末頃から、箱根山周辺の一部の基線にわずかな伸びの傾向が引き続きみられています。

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古井戸の水位計測始まる ― 和歌山県日高町


紀州新聞』の記事から。3月5日、産業技術総合研究所が和歌山県日高町比井(地図)にある古い井戸に水位計を設置しました。この井戸には、南海地震(1946年、M8.0)の前に徐々に水位が低下したとの言い伝えがあるとのことです ―― 「南海地震発生の1週間以上前に水を汲もうとした人が、いつも通りバケツのようなものにひもをつけて井戸の中へ下ろしたところ、水面に届かなかったのでひもを継ぎ足して水をくんだ。後日、水をくもうとしたら、また水面に届かなくて、更にひもを継ぎ足した」:

井戸のある場所の地名が「比井」(井を比べる)というのも、なんだか意味深長です。

産業技術総合研究所の地下水計測データは以下で公開されています:

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