2012年7月24日火曜日

聖地への巡礼で地震予知 (その1)


ヒマラヤ山中にヒンズー教の聖地・アマルナート洞窟(地図)があります。6月から8月にかけての「アマルナート・ヤトラ」の期間には、多数の信者が徒歩や馬で険しい山道や氷河を越えてこの聖地への巡礼をおこないます。巡礼者の数は、昨年は65万人を上まわったとのことです。

この洞窟がある地域は地震多発地帯であり、近々、大きな地震が発生すると専門家が予測しています。巡礼期間中に大きな地震が発生した場合、険しい山間の狭い通路に密集する巡礼者に大きな被害が出る懸念があります。

インド西岸のムンバイに近い都市プネ(地図)を拠点に活動する地震学者のArun Bapat氏が、この聖地への巡礼に現れる宏観異常を使って地震を予知しようという記事を書いています:

以下は、記事のテキトー訳です:
ジャンムー・カシミール州にある聖地・アマルナート洞窟を目指す巡礼者と彼らが乗る馬は、これから起こる地震のセンサーとして使えるかも知れない。 
地質学者たちは、近い将来にヒマラヤ地域で大地震が起きると予測しているが、それを予知できるだろうか。私たちが過去の事例に学び、動物と人間の異常な振るまいを非常に信頼できる前兆として用いるならば、たぶん答えは〝イエス〟である。 
今日までのところ、動物の異常な行動にもとづいて地震の予知に成功した事例は、中国で1975年2月におきた海城地震[地図、USGSによればM7.0、死者2000人]だけである。しかし、実際の予知には結びつかなかったものの、いくつもの前兆が観察されてきている。動物や人間の異常な行動は、地震の前兆としては研究者たちに未だに認められていない。 
2004年12月26日に発生したスマトラ島沖の大地震と大津波では、23カ国で25万人に迫る死者が出た。ゾウに乗ることはタイの観光客に最も人気のあるアトラクションであるが、地震発生の数時間前、ゾウがゾウ使いの指示に従わず、背中に乗せた観光客を振り落とすようになり、人々を困惑させた。その数時間後に地震が襲ってきた。アンダマン諸島では、地震の前にヘビ、ヒキガエル、カメ、カニなどが落ち着きをなくし、魚が海岸で飛び跳ねた。 
1905年4月4日に発生した有名なカングラ地震[地図、USGSによるとM7.5、死者1万9000人]では、前夜におおよそ200km離れたラホール動物園で動物が吠えるなど、異常な騒ぎ方をした。動物園の当時の最高責任者だったイギリス人は、すべての動物が水や食べ物を口にしなくなったと業務日誌に書き残している。その夜、彼は一睡もせずにその異常について考えを巡らしていたが、明け方の4時ごろに地震が襲ってきた。 
時間的に1世紀離れた1905年のカングラと2004年のタイの事例を考えると、破壊的な地震の前に見られる動物の異常な振るまいについてのこの様な情報や、いくつかの文書として残された報告を地震予知に活用すべきではないだろうか。

続く