2012年1月2日月曜日

2012年に注目すべき12の宇宙開発ミッション (その 2)


その 1」からの続きです。

[6] 新たな小惑星への出発 ―― 現在、小惑星ベスタを周回中のNASAの小惑星探査機ドーンが、2012年7月、ベスタの周回軌道を離脱して第2の目標である小惑星ケレスに向かう。ドーン探査機は、火星と木星の間にある小惑星帯の最も大きい小惑星を調査するために2007年に打ち上げられた。ケレスには2015年に到着予定。

[5] ライト・セール-1: 新たなソーラー・セール・ミッション ―― ライト・セール-1 は非営利の宇宙探査推進団体であるプラネタリー・ソサイエティ(惑星協会)が開発した無人のソーラー・セール宇宙探査機。同協会は、これまでに何回もソーラー・セールを打ち上げているが、ライト・セール-1 は同協会が計画している3件の新たな試験の一つである。ライト・セール-1 は、2012年中に打ち上げられる予定。

[4] 月探査機 GRAIL ―― (2012年元日、2機の GRAIL 探査機が月の周回軌道にのりました。) GRAILは〝Gravity Recovery and Interior Laboratory〟の略で、単語としては、キリストが最後の晩餐に用いた聖杯、転じて、人が探求する困難な目標や理想を意味している。2機の探査機は同一の軌道を一定の距離を保ちながら飛行し、2機の間の距離を電波を使ってミクロン単位の精度で計測。密度が高く、したがって重力が周りよりも強い場所の上空では、探査機はわずかに加速し、密度が低く重力が周りよりも弱い場所の上空では減速する。この加速や減速によって2機の間の距離が微妙に変化するので、月面の密度分布・重力分布がわかり、ひいては月の内部構造を推し量ることができる。

[3] 中国初の有人宇宙実験室 ―― 2011年、中国は宇宙実験室(小形の宇宙ステーション)天宮1号を打ち上げ、遠隔操縦で宇宙船・神舟8号をドッキング。これは中国初のドッキング成功。今後、神舟9号と神舟10号が打ち上げられ、ドッキング実験が繰り返される予定だが、そのうちの1機は有人となる。中国は国際宇宙ステーション計画には加わらず、独自の宇宙ステーションを建造することを目指している。

[2] バージン・ギャラクティック社のロケット・エンジン点火 ―― バージン・ギャラクティック社は、一般乗客に宇宙飛行を体験させる宇宙観光事業を目指しているが、同社の宇宙船スペース・シップ2 は、これまでロケット・エンジンを使わない無動力の滑空試験しか実施していない。専門家たちは、スペース・シップ2 のロケット・エンジンを使った試験飛行が 2012年中におこなわれると予想している。

[1] ドラゴンとスワンの国際宇宙ステーション訪問 ―― カリフォルニア州を本拠とするスペース・エクスプロレーション・テクノロジー社(SpaceX 社)が開発したドラゴン宇宙カプセルが、2012年2月7日、同社のファルコン9 ロケットで打ち上げられ国際宇宙ステーションに接近。宇宙ステーションの宇宙飛行士がロボティック・アームを使ってドラゴン・カプセルをドッキングさせる。もう一つの民間企業、バージニア州を本拠とするオービタル・サイエンシズ社が開発したシグナス(白鳥=スワン)カプセルが、5月に初飛行を予定している。


(完)


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