2011年10月20日木曜日

X線観測衛星が落ちてくる


Credit: Chris Peat, Heavens-Above GmbH
9月24日に NASA の大型人工衛星〝UARS〟(Upper Atmosphere Research Satellite: 上層大気研究衛星)が太平洋に落下したばかりですが、今度はドイツの X線観測衛星〝ROSAT〟(ROentgen SATellite)が大気圏に突入します。UARS は重さ 6トンで大きさはスクールバスにたとえられましたが、ROSAT は重さ 2.6トンで大きさはミニバンにたとえられています。

右上の図は、20日午前11時の ROSAT の位置です。たまたま、南西から北東に向かって日本列島を縦断しはじめるところでした。最新の位置は、以下のページで見ることができます:

ROSAT が大気圏に突入する時刻は、協定世界時で 10月23日 6時40分を中心に、前後 30時間のあいだと現時点では推定されています。日本時間になおすと、10月22日(土)午前 9時40分から 24日(月)午後 9時40分の間で、中心時刻は 23日(日)の午後 3時40分になります。

ROSAT を構成する部品のうち、約 30個、総計 1.5トンが大気圏突入時の高温にも燃え尽きず、地表に到達すると考えられています。そのうちの最大は、口径 32インチ(約 80cm)の反射鏡で、重さは 400kg あるとのことです。

UARS の破片が人にあたる確率は 3200分の1とされていましたが、今度の ROSAT は 2000分の1と見積もられています。

私は今まで知らなかったのですが、40年ほど前、日本の船に宇宙から落下してきた破片が当たり、 5人の乗組員が負傷する事件がおきていました。以下は、米国・連邦議会の技術評価局(Office of Technology Assessment、OTA)の報告書ですが、その 3ページ(表紙から数えた枚数では 11枚目)に、その事件の記述があります:

以下にその部分を引用します:
2) a Japanese ship was hit in 1969 by pieces of space debris that were assumed to be of Soviet origin, injuring five sailors;
(1969年、ソビエト連邦のものと推定されるスペースデブリの複数の破片が日本の船舶に衝突し、5人の乗組員が負傷した;)

確率が低いとはいうものの、時には「盲亀の浮木」のようなことが起きるということです。くわばら、くわばら。


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