2011年8月5日金曜日

QuakeFinder社がSETI研究所と提携


少し古いニュースですが、7月12日、カリフォルニア州を本拠とし電磁気的な前兆にもとづいた地震の短期予知システムの構築を目指しているQuakeFinder社(*) と、宇宙における生命の起源や広がりを追究しているSETI研究所(SETI Institute)が提携を発表しました:

電磁気的な前兆シグナルを利用して大地震の短期予報(数日から数週間前)をおこなう実用的な手段の開発を目指す研究を加速するために協業することになった、とのことです。

以下に、上記発表文の一部をテキトー訳します:
QuakeFinder社は、2000年から、地震にともなって発生する電磁気現象のデータを記録してきました。また、同社は、広範囲におよぶ観測機器のネットワークと、毎日収集される膨大なデータを記録・取捨選択・分析するデータ処理のインフラストラクチャーを構築してきました。
QuakeFinder社の研究によって、大地震の2週間前に始まる超低周波(ULF)の電磁気シグナルのパターンが明らかになりましたが、これはSETI研究所でフロインド博士が発見した効果ときわめてよく一致するものでした。このパターンは、QuakeFinder社の設置した観測機器から10マイル(約16km)以内で起きた2つの大きな地震(M5.4とM6.2)と一群の小さな地震(最大M4)で存在が確かめられました。QuakeFinder社とフロインド博士は、7トンの岩石を割って同じシグナルが発生することを確認する野外実験を共同で実施しています。

フロインド博士は、岩石の電気的な性質を数十年にわたって研究しています。博士が生命の起源を求めておこなった数々の実験は、圧力を受けた岩石が電荷キャリアを発生させるという発見をもたらしました。博士の理論によって、この電荷キャリアの発生という現象が地上や大気中で観測される効果をいかにして生み出すのかを理解することができます。これらの現象やほかの関連する現象は、実用的な地震予報ソリューションの原理の有望な候補です。

QuakeFinder社とフロインド博士は以前から共同で研究を進めてきたようです。今回、同社とSETI研究所が提携を発表したのは、経済的な要因が大きいように思います。発表文にも書かれていますが、SETI研究所が持つ〝501c3〟ステータスによって、QuakeFinder社がおこなう観測ネットワークの拡大や基礎物理学的な実験に対する企業・財団・個人からの寄付金が税の控除対象となり、寄付を集めやすくなるという側面があるようです。

フロインド博士の研究については、以前、「西多摩の鶯」さんが運営する掲示板に投稿したことがあります。その投稿は現在も閲覧が可能になっているのですが、同掲示板は個別の記事に対してうまくリンクを張れないので、別途このブログに転載しようと思っています。


(*) QuakeFinder社は、以前は独立した企業だったのですが、現在はStellar Solutionsという企業の傘下に入り、その一部門(A Humanirarian R&D Division of Stellar Solutions = ステラー・ソリューションズ内の人道的研究・開発部門)になっています。したがって「社」という言葉をつけるのは適切ではないかも知れません。経済情勢が悪化し一般からの寄付も減少する中、地震予知という目標で企業を継続するのは困難だったのだろうと推察しています。


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