2011年8月8日月曜日

エレーニン彗星についての Q&A (その1)


エレーニン彗星(Comet Elenin、エレニン彗星)という、特に変わったところがあるわけではない普通の彗星について、地球に衝突するとか、その重力や磁力によって地球に大地震や大津波を起こすなどといったデタラメな情報がネット上を飛び交っています。一方、天文関係のニュースサイトやブログには、そのような誤った情報を打ち消す解説記事が掲載されています。しかし、エレーニン彗星についてのデマ情報に不安を感じるような人たちは、もともと天文関係の知識に疎く、そのようなニュースサイトやブログの記事に目を通すことは少ないようです。

『ユニバース・トゥデイ』(Universe Today)誌のサイトは、天文関係のブロッガーとして有名なイアン・マスグレーブ(Ian Musgrave)氏のブログ記事・〝Comet Elenin: the FAQ for the worried.〟(エレーニン彗星: 心配している人たちのためのよくある質問と答え )を転載・紹介しています:

マスグレーブ氏は南オーストラリア州アデレード在住の天文研究者です。同氏のエレーニン彗星についてのブログ記事(複数)は、苦情の申し立てがあったため、ブログ運営会社によって一時的に削除される憂き目を見たのだそうです。その後、苦情には根拠がないことがわかって記事は復活したのですが、マスグレーブ氏はこの苦情申し立てはエレーニン彗星についてのトンデモ説を流布しようとしている人物(doomsdayers, 2012ers, and end-of-the-world scaremongers)による嫌がらせだと考えています。同氏のブログ以外にも、エレーニン彗星に関するデマ情報を打ち消そうとするブログが、同じような嫌がらせを受けているとのことです。

以下は上記FAQからの抜粋、テキトー訳です:
エレーニン彗星は地球に衝突するのですか?: いいえ。エレーニン彗星が地球に最も近づくのは2011年10月16日ですが、そのときの地球との距離は0.23天文単位(AU)です。1天文単位は地球から太陽までの(平均)距離です。0.23天文単位をもう少し噛みくだいて説明すると、これは金星が地球にもっとも近づくときの距離より少し近いだけで、地球から月までの距離の約100倍に相当します。0.23天文単位という接近距離は、最新のMPEC天体位置表に記載されているもので、エレーニン彗星を継続的に追跡観測している複数の天文台の100を超える観測にもとづいていますので、今後大きく変更されることはないでしょう。

エレーニン彗星が地球に衝突する場合、NASAや政府がその事実をもみ消すのではありませんか?: どこの国の政府がもみ消すのでしょうか。オーストラリア政府ですか、イギリス政府ですか。イタリア政府ですか。南アフリカ共和国政府でしょうか。世界中のアマチュア天文観測者たちがこの彗星の動きを観測し、ひっきりなしに情報を交換しています。彼らは、彗星の移動を予測するコンピューター・プログラムも使っています。もし、この彗星が(予想を超えて)私たちに近づいてくるようなことがあれば、最初に気づくのはアマチュア天文観測者たちのコミュニティです。そして、彼らを黙らせておくことは不可能です。小惑星アポフィスについての情報がどれだけ広まったかを考えてください。アポフィスは、かなりきわどい現実的な危険要因でした。(注記: 2004年に、アポフィスが2029年に地球と衝突するかもしれないと騒がれましたが、その後、少なくとも2029年の接近では衝突しないことが判明しています。)


(続く)