2010年6月17日木曜日

科学は勝つ

著名な宇宙物理学者で宇宙の起源について深い洞察をおこない、また車いすの科学者としても知られるスティーブン・ホーキング博士の刺激的な発言が、話題になっています:

博士がテレビのインタビューに答えたときの発言で、6月 7日に放映されました。以下に博士の発言を抜粋します:
There is a fundamental difference between religion, which is based on authority, (and) science, which is based on observation and reason.

宗教と科学の間には根本的な違いがある。宗教は権威(権力)に立脚している。科学は観察と理性にもとづいている。

Science will win because it works.

科学は(宗教に)勝つ。なぜなら(科学は)つじつまが合うからだ(宗教はつじつまが合わない)。

What could define God (is thinking of God) as the embodiment of the laws of nature. However, this is not what most people would think of that God.

神を定義できるとすれば、それは自然の法則の化身(具象化)としてである。しかし、それは多くの人びとが考える神ではない。

They made a human-like being with whom one can have a personal relationship. When you look at the vast size of the universe and how insignificant an accidental human life is in it, that seems most impossible.

人びとは、人間に似ていて、個人が関係を結ぶことができる存在を(神として)作り上げた。広大無辺な宇宙のサイズと、その中に偶然に生まれた人の命の小ささを考えれば、そのような存在が実在することはまったく不可能だ。

当然ですが、宗教界からは批判や反論が出ています:

記事には、博士が自分の子供たちに与えた言葉も載っています。これもなかなか含蓄があります:
  1. 足元を見るのではなく星を見上げること。
  2. 絶対に仕事をあきらめないこと。仕事は目的と意義を与えてくれる。それが無くなると人生は空っぽだ。
  3. もし幸運にも愛を見つけることができたら、それはまれなことであることを忘れず、捨ててはいけない。

人類全体の平均的な教育レベルが上がれば、宗教の影響力はそれに応じて低下すると私は思います。最終的には、少なくとも啓示宗教(3大宗教の中ではキリスト教とイスラム教)は存続できなくなると思っています。

2004年に発生したスマトラ島沖地震とそれに付随するインド洋大津波では、20万人を超える死者・行方不明者が出ました。その中には敬虔なキリスト教徒やイスラム教徒が多数含まれていました。なぜそのような人たちまで犠牲になるのか、キリスト教やイスラム教では説得力のある答えを出せていません。

この大地震・大津波以降、それまで半ばタブー視されていた無神論についての報道が増えてきたように思います。また、無神論に関心を示す人の増加にともなって、無神論の側からの働きかけや情報発信も広がっています。

昨年初め頃には、『利己的な遺伝子』『神は妄想である-宗教との決別』などの著作で有名なイギリスの動物行動学者リチャード・ドーキンス博士が主催する団体が、各国のバスの側面に、広告として次のようなスローガンを掲げて物議を醸しました:
There’s probably no God. Now stop worrying and enjoy your life.

多分、神は存在しない。さあ、(存在しないものに)気をつかうのはやめにして、人生を楽しもう。

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