2010年6月7日月曜日

連続噴火 10000日 ― ハワイ・キラウエア山 (その 2)

ハワイ諸島の地下にあるホットスポットはこれまで不動と考えられ、ハワイ諸島とハワイ海嶺、さらにその先に伸びる天皇海山列や明治海山列は、ホットスポットの上をプレートが移動したことを示す軌跡だと見なされてきました。

たとえば、NHK 教育テレビで放送されている『高校講座地学』のテキストには次のように書かれています:
北太平洋の海底地形図を見ると、ハワイ諸島からカムチャツカ半島まで海底火山が連なる海山列があります。

この海山列は、プレートの移動でできたものです。

マントルで発生したマグマが上昇してくる場所をホットスポットといいます。ホットスポットではマグマが地殻を突き抜けるため、そこに火山ができます。しかし、プレートは動いているので、火山は移動することになります。こうして海山列ができます。

大昔、現在のハワイ島付近でホットスポットからマグマが上昇してきて、火山島ができました。プレートは動くので、その上にある火山島はどんどん西へと動きます。しかし、プレートの下にあるホットスポットは動かないので、そこにはまた新しい火山島ができます。これを繰り返して、現在のハワイ諸島はできました。

ハワイ諸島からカムチャツカ半島に向かう、天皇海山列や明治海山列も、ハワイのホットスポットからできたものです。

上記の説明は現時点でも概略は正しいのですが、ホットスポットも移動していることが最近の研究で明らかになっています:

誤解を避けるために付記しますが、これでプレートの移動が否定されたわけではありません。プレートの移動は、超長基線電波干渉法(VLBI: Very Long Baseline Interferometry)などによって厳密に確認されています。

上記の記事から引用します:
ホットスポットが動くという発見は人々を驚かせたが、これで即、これまでの研究がすべて台無しになったわけではない。ホットスポットが動くメカニズムを解明し、ホットスポットも移動しうるという前提に立ってこれまでの研究を見直すときが来たのだ。

ハワイ諸島とハワイ海嶺が西北西に伸びているのに対して、それに連なる天皇海山列は北北西に伸びています。ハワイ海嶺と天皇海山列の接続部分には明瞭な屈曲があります(海底地図)。この屈曲の原因について、従来は太平洋プレートの移動方向が変化したため、と説明されてきました。しかし、それも怪しくなっています:

上記記事から抜粋・テキトー訳します:
古地磁気の測定によって、ハワイ海嶺-天皇海山列間の屈曲は太平洋プレートの相対的運動が変化した結果ではないことが示された。それどころか、ホットスポットが完全に停止する前、8000万年前から 4000万年前までの間、急速に南に向かって漂流していたらしいことが明らかになった。ハワイのホットスポットの軌跡にこの漂流の効果を加味するならば、太平洋プレートは過去 8000万年間以上の期間にわたっておおむね一定の運動をしていたことになる。ハワイ海嶺-天皇海山列間の屈曲は、ホットスポットの漂流が減速し始めたときに生じたものである。

(完)


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