2010年5月31日月曜日

マリアナ諸島で海底火山噴火

29日 22:30 頃、マリアナ諸島(火山地図)に属するサリガン島(Sarigan)とアナタハン島(Anatahan)の間の海底で火山噴火がおき、アメリカ合衆国の属領・保護領である北マリアナ諸島(CNMI: Commonwealth of the Northern Mariana Islands)全域に災害非常事態が宣言されました:

噴火地点はサイパン島の北約 140km です。

NWS(National Weather Service)の発表によると ――
29日午後10時30分頃、サリガン島の住民から島の南方で噴火があったとの報告が入った。加熱された海水から生じた水蒸気と火山灰の混じった噴煙が高さ約 12km まで上がった。人工衛星からの画像によると、30日早朝には噴煙がグアムと北マリアナ諸島と縦断して南に流れた。
―― とのことです。

『サイパン・トリビューン』紙の報道では、噴火が始まったのは NWS の発表より早く、28日の昼となっています。

USGS(米国地質調査所)の発表によると ――
サリガン島で噴火を観測した人は、島の南で大きな爆発音がし、そのすぐ後に火山灰が降り始めたと話している。空振もあったと報告されている。
―― とのことです。

その後は噴煙が観測されておらず、噴火が継続しているのか否かはわかっていません。

北マリアナ諸島(CNMI)の知事は、災害非常事態を宣言し、科学的調査以外の目的でサリガン島に立ち入ることを禁止しました。


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バヌアツで火山噴火激化

先週、マグニチュード 7.2 の大地震があったバヌアツ共和国で、火山の噴火が激しくなり、噴煙の影響で地元や隣国ニューカレドニアの定期航空路に影響が出ています:

噴火しているのはバヌアツ共和国 Tanna 島の Yasur 火山(地図)。海抜 361m(低い!)の成層火山です。大規模な噴煙に加えて、火砕流や赤熱した岩石の崩落も続いているため、当局は 周辺住民 6000人の避難を検討しています。

Yasur 山はこれまでも噴火が継続中でしたが、先週から活動が非常に激しくなり、特に M7.2 の地震があった 28日以降は一段と激化しました。

南太平洋では、このバヌアツの噴火に加えて、新たにサイパン島の北方で海底火山が噴火し、アメリカ合衆国の属領・保護領である北マリアナ諸島全域に非常事態が宣言されています。


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クリーブランド山の警戒レベル上昇

書きそびれていたのですが、5月 25日、アリューシャン列島にあるクリーブランド山(地図)の噴火警戒レベルが “advisory” に引き上げられました:

人工衛星からの観測で、火口周辺の温度が上昇しているのが見つかったためです。現地にはリアルタイムで地震を観測する設備は設けられていないとのことです。

クリーブランド山は海抜 1730m の成層火山で、1944年の噴火では死者を出しています。しばしば小規模の噴火をおこし、ときには溶岩の流出を見せることもありますが、ほとんどの場合、短期間で活動が終息しています。昨年も 1月、6月、10月に小規模の噴火をおこしています。


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ヘビが原因の停電 ― 大阪府

5月 30日、大阪府枚方市(地図)で、ヘビが電柱の上部(高さ約 10m)に設置された配電盤の中に入り込み、6000ボルトの高圧電流をショートさせたため、停電が発生しました:

停電発生時、電柱の上で爆発音と煙が発生したとのことです。

ヘビが原因の停電は、昨年は 4月下旬から 8月上旬にかけて発生しました。今年は、報道を通じて私が知る限りでは今回の枚方市の件が最初で、昨年より約 1ヶ月遅い発生となりました。全国的に気温の低い日が多く、ヘビの活動がにぶかったからかも知れません。

一昨年(2008年)は「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」(Mj 7.2)があった年ですが、東北電力岩手支店は 11月に「停電件数自体は年々減少傾向だが、ヘビによるものは徐々に増加し、今年は特に多かった」と発表しています:

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2010年5月30日日曜日

噴煙のリング ― アイスランド

5月初め、アイスランド・エイヤフィヤトラヨークトルの火口上空に珍しい噴煙のリングが現れました:

記事によれば ――
  • たまたま居合わせた米国オレゴン州立大学の教授が撮影
  • リングは 5分以上形を保っていたため、カメラを取り出す余裕があった
  • エイヤフィヤトラヨークトルでは、先月にも同様のリングが目撃されていた
  • イタリアのエトナ山でも 2000年に同様のリングが撮影されていた
  • リングがどのようにして形成されるのかはよく分かっていないが、人がタバコの煙でリングを作るのと同様の過程が火口で生じているのではないかと考えられている
―― とのことです。

ちなみに昨年 6月には、テーマパークの人工火山から上昇した噴煙のリングが、UFO や神からの啓示として扱われる出来事がありました:

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竹の花が開花 ― 京都府、岡山県

4月26日、京都府南丹市園部町(地図)に自生する竹が花をつけているのが見つかりました:
地域の植生に詳しい人は「葉の色などから、竹の中でササの仲間のメダケと見られる。花は非常に珍しい」と語っています。


5月26日、岡山市の植物園(地図)でホウライチクの花が咲いているのが見つかりました:
専門家もホウライチクの「国内での開花は聞いたことがない」と驚いているとのことです。

2010年5月29日土曜日

ニュウドウカジカ捕獲 ― 北海道・網走市

21日、網走市(地図)沖のオホーツク海で、体長 60cm のニュウドウカジカが生きたまま捕獲されました:

ニュウドウカジカは、北日本の太平洋やオホーツク海などの水深 500~2800mに生息する深海魚です。


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イギリス海峡で地震 6連発

5月 19日から 23日にかけての 4日間に、イギリス海峡(地図)で 6回の発震がありました:

いずれもマグニチュード 2クラスで、震源の深さは 5km 前後です。震央地名はイギリス海峡となっていますが、BGS(英国地質調査所)の発表では、いずれの震央もイーストボーン(地図)の南東 75km から 95km となっていますので、イギリス海峡というよりはドーバー海峡(地図)に近く、フランスの領海内です。

最初の地震(5月19日、M2.3、深さ 5.0km)の震央地図:

この地域で地震が連続して発生するのは珍しいことです。

5月 6日にはアイルランド南西部のクレア州で歴史上初めて地震が発生するなど、イギリスやアイルランドでも「最近、地震が増えている」と感じる人が多いようです。BGS も USGS と同じように、その疑問に答えるページを公開しています:

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エクアドルでも火山噴火

現地時間 5月 28日午前 8時 47分、南米エクアドルのトゥングラワ(Tungurahua)山(地図)が爆発的な噴火をおこし、周辺の 2つの町の住民が避難しています:

爆発的噴火以降も火山性の地震や微動が増え続け、火砕流も頻繁におきているとのことです。

トゥングラワ山は、エクアドルの首都キトの南約 180km にある活火山で、標高は 5029m。5月中頃から地震や微動が顕著に増え始め、26日には 上空 7000m の高さにまで噴煙を噴き上げました。


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2010年5月28日金曜日

中米で火山噴火 2件

中央アメリカで 2つの火山が噴火し、死者が出るなどの事態になっています。

5月 24日、コスタリカのアレナル火山(地図)が噴火。周辺の人たちが避難しています:

5月 27日には、グアテマラのパカヤ火山(地図)が噴火。報道関係者が 1人死亡しました:

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小惑星 2010 KQ

5月 16日、地球とほとんど同じ軌道を公転している小惑星が発見され 2010 KQ と命名されました:

2010 KQ の位置を過去に遡って計算すると、1975年に地球に非常に近い位置にあったことがわかりました。また、近赤外線を使った分光分析の結果、既知のいかなる小惑星とも異なっており、金属製のロケットのようなものと推定されました。以上の点から、2010 KQ は過去に打ち上げられたロケットの一部と見られています。

2010 KQ が地球に衝突する可能性は比較的高く、現時点では 2036年から 30年の間に衝突する確率が 6% と計算されています。しかし、仮に 2010 KQ が地球に向かってきたとしても、地表に到達する前に大気圏内で燃え尽きると考えられています。


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カモシカの迷い込み ― 石川県、岐阜県

カモシカが市街地に迷い込む事件が 2件、相次ぎました。

1件目は 25日、石川県金沢市の兼六園(地図)。捕獲後に極度の緊張でショック死しました:

2件目は 26日、岐阜県御嵩町のショッピングセンター(地図)。こちらは無事に山に帰りました:

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口蹄疫はヒトに感染する

報道では、口蹄疫はヒトには感染しないと伝えられています。農林水産省のサイトにも、「人にはうつりません」「牛肉や豚肉を食べたり、牛乳を飲んだりしても口蹄疫にかかることはありません」「口蹄疫にかかった家畜の肉や乳が市場に出回ることはありません」などと書かれています。本当でしょうか。

Wikipedia の「口蹄疫」の項目には「ヒトへの感染」という一節があり、「感染することがある」と明記されています。さらに 「ミルクにより最低でも 2人の子供が口蹄疫に感染して死亡したとの報告がある」 との記述もあります。

また、『広辞苑』(岩波書店)には次のような説明があります:
こうてい‐えき【口蹄疫】 家畜伝染病の一。有蹄類、特に牛・豚・羊などの急性疾患。病原体はウイルス。感染獣は発熱・流涎し、口腔粘膜・蹄部皮膚などに多くの水疱を生ずる。人にも感染することがある

さらに、『デジタル大辞泉』(小学館)には「まれに人間に感染する場合もある」、『栄養・生化学辞典』(朝倉書店)には「ウイルス性の伝染病で (中略) 人畜共通」との記述があります。

調べてみると口蹄疫がヒトに感染した事例がいくつも見つかります。以下は、イギリスの公共放送 BBC が伝える感染事例です:

記事は、2001年にイギリスで口蹄疫が大流行し、1000万頭の家畜が処分され、当時の為替レートで 1兆 4000億円の損害を出したときに書かれたもので、それ以前のヒトへの感染事例を紹介しています。以下は記事からの抜粋・適当訳です:
口蹄疫がヒトに感染したという報告は世界中に何ダースもあるが、イギリスでは 1966年に Northumberland でおきた感染が唯一の先例である。

35歳の男性、Bobby Brewis は農業機械のセールスマンで、Yetlington という村の農場で兄と一緒に暮らしていた。家畜とは間接的な接触があるだけであった。

彼の住んでいる農場で口蹄疫が発生したのは 1966年 7月 28日のことで、飼われていた動物は 2日後に殺処分された。

Bobby Brewis はこの作業を見てはいたが、自ら参加することはなかった。その農場では感染した家畜からとられたミルクが(食用・飲用に)使われていたと報告されている。

その 4日後、微熱、のどの痛み、手のひらの水泡、舌のみみず腫れなどの症状が彼に現れた。

医師(複数)によって採取された組織サンプルの一つから口蹄疫ウィルスの痕跡が検出された。しかし、残りの組織サンプルは陰性だった。

水疱は 2週間ほどで消えたが、8月中頃、再び手に現れた。

この男性の皮膚が、体質的な理由でウィルスに感染しやすい状態にあったのではないか、との指摘があった。

この感染事例について医師団は “British Medical Journal”(『医学会会報』)に次のように書いている ―― この事例では他の人への感染は起きなかった。また、患者は発病前も発病後も動物と接触しておらず、この経路で感染が拡大したとの証拠はない。

記事には次のようなことも書かれています:
  • ヒトへの感染の記録は 1695年まで遡れる
  • ヒトに感染した場合の潜伏期間は 2日で、まれには 6日を超えることもある
  • 手に水疱ができるが、ときには足や口にも水疱が現れる

口蹄疫のウィルスは、乳幼児や子供によく見られる手足口病のウィルスと同系統です。

これだけ ヒトにも感染するという情報があるにもかかわらず、「人にはうつりません」 と言いきってしまう農林水産省の神経はそうとう太いのか、よほど鈍感なのか。

農林水産省としては、生産者寄りの立場で、風評被害を防ぐために「人にはうつりません」 と大見得を切らざるを得ないのかも知れません。では、「消費者の視点から政策全般を監視する」はずの消費者庁は、このような農林水産省のサイトの「不当表示」にクレームをつけてくれないのでしょうか。

口蹄疫の感染拡大を防ぐため、政府は口蹄疫が発生した農場から半径 10km 以上、20km 以下の範囲に飼育されているすべての牛と豚を早期出荷し食肉に加工しようとしています。発生農場の周りを「無畜地帯」で囲んで、感染が広がらないようにする窮余の策です。火事の延焼を防ぐためにおこなわれる破壊消火のようなものです。

このようにして急遽出荷された食肉に特別なマークが付けられるわけではなく、消費者には区別する手段がありません。10km 以上 20km 以下の範囲の牛や豚が本当に口蹄疫に感染していないという保証はなく、「牛肉や豚肉を食べたり、牛乳を飲んだりしても口蹄疫にかかることはありません」といくら農林水産省に言われても、そのことを疑わせる過去の事例もあるので鵜呑みにはできません。

結局、産地表示などをよく見て疑わしい食品は買わず、口にせずの方針をとるか、牛肉・豚肉を食べることを一切やめてしまうしかないのかも知れません。あるいは農林水産省を信じて、腹をくくるか ……。

月面のホールインワン

斜面を転がり落ちてきた一軒家サイズの大岩が、直径約 60m のクレーターの中にホールインワン:

写真は、月を周回中の LRO(Lunar Reconnaissance Orbiter)が 今年 3月に撮影したものです。クリックすると拡大します。

画面に写っている部分の幅は 500m です。画面左上から右下に向かって無数の白っぽい岩が帯状に分布しています。これらの岩はすべて斜面を転がり落ちてきたもので、この帯状の部分が左側の斜面と右側の平地の境界を示しています。


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深海魚捕獲相次ぐ ― 和歌山県

和歌山県沿岸で深海魚が相次いで捕獲されています:

3月 27日 ―― 田辺市(地図)沖で体長 2.4m のサケガシラ

5月 17日 ―― 有田市(地図)沖で体長 0.5m のユキフリソデウオ、和歌山県内での捕獲は 1982年、2008年に次いで 3例目


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2010年5月27日木曜日

霧島山(新燃岳)が小規模噴火

今日 15時 37分に霧島山の新燃岳(地図)が小規模な噴火をおこしました:

上記資料から抜粋します:
  • 小噴火の後、噴煙は徐々に少なくなっている。
  • 上空からの観測では、火口西側付近には大きな噴石や降灰は確認できなかった。少量の白色噴煙が上がっているのを確認。
  • 噴火にともなって、継続時間約 35分の振幅の大きな火山性微動を観測。
  • 火口から南西約 3km にある観測点で 2.6Pa の弱い空振を観測。
  • 霧島市、えびの市、小林市の一部で降灰を確認。火口からの距離は最大で 6km。

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今日からナウキャスト拡充 ― 気象庁

このブログの 5月 20日付記事「気象警報・注意報の出し方が変わります」で書きましたが、今日午後 1時以降、気象警報・注意報が市町村ごとに発表されるようになります:

それに加えて、やはり今日から 「雷ナウキャスト」と「竜巻発生確度ナウキャスト」が始まります:

雷については、これまでは電力会社のウェブ・サイト(たとえば東京電力の「雨量・雷観測情報」、中部電力の「雷情報」など)に頼っていたのですが、今日からは情報源が増えることになります。

カエルの大群出現 ― 今度はギリシャ

5月 26日、ギリシャの都市テッサロニキ(地図)の東約 20km にある街で、小さなカエルの大群が幹線道路を横切ったため、道路が 約 2時間にわたって閉鎖されました:

道路が閉鎖されたのは動物愛護の観点からではなく、大量のカエルをひいた自動車が 3台、スリップ事故を起こしたため。交通整理にあたっていた警察官はカエルの大群を 「カエルの絨毯(じゅうたん)」 と表現しています。

ギリシャは地震が多発する国ですので、当然のことながら地震の前兆ではとの見方が出ています。以下の記事には、それに関する情報が補足されています:

以下に記事の内容を抜粋・意訳します:
カエルは食料を求めて移動しているのではないかと警察は考えている。

しかしながら、イギリスの科学者は別の理論を唱えている。つい先月(注: 記事は 4月としていますが、正しくは 3月)発表されたイギリス人生物学者らの研究報告では、カエルは地震を予知して行動することがしばしばあることが示された。

実際に、2009年 4月 6日にイタリアで発生した M6.3 の地震(ラクイラ地震、死者 300人超、家を失った者 40000人超)では、その 5日前に近隣のカエルの行動に変化が現れていた。その地域に生息するオスのカエルの 96% 以上が群れ集まり始め、地震の 1日前に数百匹のカエルが集団で逃げだした。(この件については、このブログの 3月 20日付記事 「ヒキガエルの繁殖行動とラクイラ地震」 を参照してください。)

もう一つの事例は、2008年におきた中国の地震(四川大地震)である。この地震はカエルの大群の移動によって予知されていた。2008年 5月 5日、大量のカエルが移動し、中国中央部の住民に嫌な予感をもたらした。住民らは不吉な前兆であると考えたが、政府はカエルの移動は正常な出来事であると発表した。

果たせるかな、5月 12日に中国中央部で地震が発生し、1万2000人が犠牲になった(注: 国連の国際防災戦略(ISDR)によれば死者は8万7476人、USGS の資料では 8万7587人)。

地震を予知しているのはカエルたちだけではない。何人かの地震学者たちは彼らの分析に基づいて、24時間以内にギリシャかトルコで大地震が発生する可能性があると明言している。

最後に書かれている 24時間以内に大地震云々について、記事は情報の出所を書いていませんが、おそらく VAN 法による地震予知を続けている科学者グループではないかと思います。(VAN法については、このブログの 09年 5月 22日付記事 「VAN 法で強震を予測 ― ギリシャ」 も参照してください。)

ラクイラ地震は 4月、四川大地震は 5月に発生しています。ともにカエルの行動が活発になる時期です。そのような時期だからカエルの行動に前兆が現れたのか、そのような時期に地震がおきたのでカエルの行動が地震と結びつけられたのか、慎重に検討する必要があると思います。


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2010年5月26日水曜日

異臭騒ぎ ― 香川県・和歌山県

中央構造線沿いの地域で異臭騒ぎが相次いで起きています。5月 19日昼頃に香川県さぬき市、24日昼頃に和歌山県御坊市や日高町。いずれも原因は不明のままです:

どちらのケースも 「ガスのような臭い」 という点で共通しています。


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頭部の脈動で地震予知 ― 中国・雲南省

頭の内部に感じる特殊な脈動で地震予知をする男性がいるそうです:

予知の内容を見ると、「地震予知の 3要素」を満たしていないようです。これでは疑似相関を疑われてもしょうがないと思います。

記事のタイトルには 「的中率 8割を確認」 とありますが、的中の規準が非常に甘いと言わざるを得ません。また、仮に的中の判定規準が妥当なものだったとしても、12件中 10件では話になりません。同じ 8割といっても、「120件中 100件」や、「1200件中 1000件」とは統計学的な意味合いがまったく違います。


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カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 7)

Image Credit: Icelandic Meteorological Office

エイヤフィヤトラヨークトルの噴火は休止状態となっています:

一方、隣接するカトラ山では、新たにカルデラ内で 1つ(深さ 2.8 km、M0.7)、カルデラ直近で 1つ(深さ 4.8km、M0.8)地震が発生しました:
  • 4月29日 00:28:31 深さ 0.8 km M1.5
  • 4月29日 00:28:31 深さ 7.1 km M1.0
  • 4月29日 22:05:46 深さ 5.9 km M1.7
  • 5月17日 08:32:19 深さ 9.5 km M-0.2(?)
  • 5月20日 21:15:57 深さ 4.7 km M1.0
  • 5月21日 10:14:15 深さ 1.0 km M1.0
  • 5月21日 10:31:42 深さ 13.7 km M0.4
  • 5月21日 13:39:45 深さ 4.8 km M0.8
  • 5月23日 01:06:48 深さ 0.1 km M0.8
  • 5月23日 11:12:48 深さ 1.0 km M0.3
  • 5月24日 06:09:30 深さ 0.7 km M1.2
  • 5月25日 03:36:51 深さ 4.8 km M0.8
  • 5月26日 08:43:21 深さ 2.8 km M0.7

(注) この記事に掲載されている写真(クリックすると拡大)に注目してください。上空の雲が収束しているように見えますが、地面にうつった人影や車の影も、本来は平行なはずなのに同じ方向に収束しています。地震予知系の掲示板で 「震源の方向に雲が収束」 という報告をしばしば見かけますが、ほとんどはこのような遠近法による見かけ上の 「収束」 です。この写真は、広角系のレンズを使って撮影したため遠近感が強調され、遠近法の効果がはっきりと現れています。


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2010年5月25日火曜日

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 6)

さらにカルデラ内で 1つ (深さ 0.7 km、M1.2)、山麓で 2つ発生しました:
  • 4月29日 00:28:31 深さ 0.8 km M1.5
  • 4月29日 00:28:31 深さ 7.1 km M1.0
  • 4月29日 22:05:46 深さ 5.9 km M1.7
  • 5月17日 08:32:19 深さ 9.5 km M-0.2(?)
  • 5月20日 21:15:57 深さ 4.7 km M1.0
  • 5月21日 10:14:15 深さ 1.0 km M1.0
  • 5月21日 10:31:42 深さ 13.7 km M0.4
  • 5月21日 13:39:45 深さ 4.8 km M0.8 (深さとマグニチュードが修正されました)
  • 5月23日 01:06:48 深さ 0.1 km M0.8
  • 5月23日 11:12:48 深さ 1.0 km M0.3
  • 5月24日 06:09:30 深さ 0.7 km M1.2

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2010年5月24日月曜日

カエルの大群出現 ― スリランカ

今度はスリランカにカエルの大群が出現し、地震が起こるのではとの懸念が広がりました:

小さなカエルの大群が出現したのは、スリランカ西岸のモラトゥワ(Moratuwa、コロンボの南約 15km、地図)で、先週のこと。

著名な環境問題専門家 Jagath Gunewardene 氏が調査に乗り出し、急激な気候変動が原因であって、地震とは無関係であるとの見解を示しています。同氏は次のように語っています:
今回の現象の原因は、気候変動だと考えて間違いない。このような現象は他の国々でも以前から発生している。多数の両生類が、天候の変化を予期して現在の生息地を離れ、新たな生息場所を探し求めるのである。今回の大量出現は早朝に見られたが、予想どおり、その数時間後にコロンボは激しい豪雨にみまわれた。

記事では、中国の事例(おそらく四川大地震)を引き合いに出しています:
同様の現象が 2年前に中国でおきたが、自然発生的な(カエルの)移動であるとして片づけられてしまった。しかしその数日後、その地域はマグニチュード 7.8 の大地震に襲われた。

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白いビーチが真っ赤 ― 高知県土佐清水市

高知県土佐清水市の大岐浜(地図)で、海水が赤く染まる現象が続いているそうです:

紅藻類に属するイギスが原因で、記事によれば 「ほぼ毎年、潮流の具合で同浜に流れ込み、5月中旬までに大半が枯れて消える」 が、「今年は 3月以降の長雨で海水温が上がらず、枯れるのが遅いのでは」 ないかとのことです。

イギスについては 『広辞苑』(岩波書店)に次のような説明があります:
いぎす 【海髪】 海産紅藻類の一属。潮間帯の岩礁または砂礫につき、暗紫色で毛髪状に二股に分枝。初夏の頃刈り取り、乾燥漂白して糊の材料、また刺身(さしみ)のつまとする。ハリイギス・アミクサなどの類。髪菜。小凝菜。

また、『世界大百科事典』には次のように書かれています:
イギス  Ceramium kondoi Yendo  潮間帯の岩上や他の海藻の体上に生育する紅藻イギス科の 1種。高さは 10~30cm になり、体は紅紫色、糸状、円柱状で叉(さ)状、3叉状または 4叉状に分枝する。 (中略) 日本、朝鮮半島、千島列島、サハリンの沿岸に分布し、〈いぎすこんにゃく〉 を作って食用とするほか、寒天原料の混合藻としても使われる。

2010年5月23日日曜日

てんかんと地震

「異常現象に気付いたらお知らせください。」(*)という掲示板に以下のような投稿がありました:
▼ No.112275 19日以降、有感地震、発生なし 投稿者:西東京人 投稿日:2010/05/22(Sat) 06:48

本州付近では、19日以降、有感地震の発生がありません。だからと言って、大きな地震が起きるとは、一概に言えませんが…。

自分は、ここ数日、頭痛、耳鳴り、てんかんが発生しています。体感としては、発生の近さを感じさせます。

▼ No.112276 てんかん… 投稿者:JJ 投稿日:2010/05/22(Sat) 09:38

単なる病気では?なんでも結びつけるのはよくないよ!

上記の掲示板は、何でもかんでも手当たり次第に地震と関連づける理科音痴やいささか病的な心理状態の人たちが群がっているようで、「JJ」という人の指摘は妥当なものだと思います。

これで思い出したのが、以前「宏観休憩室 地震前兆研究村」という掲示板に私が投稿した記事です(2年以上前に投稿したものなので、文中のリンク先の中にはすでに削除されているものがあります):

上記投稿中にも書いてありますが、地震の発生パターンとてんかん発作の発生パターンに類似点があることが見いだされたという内容です。だからといって、てんかん患者を観察することによって、地震が予知できるということではありません。


(*) http://www.progoo.com/rental/normal_bbs/bbs.php?pid=11087

海棲哺乳類の出現・漂着

アイスランドの火山噴火などがあり、これまでこのブログに記載する余裕のなかった海棲哺乳類の出現や死骸の漂着などの情報をまとめておきます(1件だけ魚類の漂着情報を含みます)。4月前半は特に多かったと思います:
3月10日 富山県氷見市の海水浴場に衰弱したオットセイ漂着、11日に保護、13日に死亡。

4月4日 福井県福井市の鷹巣漁港沖でクジラ目撃。種類不明。「小型から中型のクジラ類かもしれない。福井県沿岸で見ることは珍しい」。

4月4日 千葉県いすみ市の海水浴場でキタオットセイ保護。衰弱が激しく 9日に死亡。

4月5日 茨城県東海村の海岸にマッコウクジラ漂着。体長 4.4m。「茨城県内の海岸にマッコウクジラが漂着する例は極めて珍しい」。

4月5日 熊本県天草市の海岸にコブハクジラの死体漂着。体長 4.15m、体重 500~600kg。「天草近海ではあまり見られない珍しいクジラ」。

4月6日 福井県あわら市の砂浜にゴマフアザラシの子ども1頭の死体が漂着。死後間もない個体で、生後約 1ヶ月。「福井県内でこれほど幼いゴマフアザラシが漂着するのは初めて」。

4月7日 北海道渡島管内八雲町の漁港にマッコウクジラが迷い込む。自力で漁港を脱出するも浅瀬に乗り上げ、その後死亡。体長 11.77m、体重 22t。

4月10日 長崎県の大村湾で生後間もないスナメリを保護(21日に死亡)。

4月11日 北海道留萌管内小平町の砂浜にオットセイ 1頭、浜辺で体を休める。「オットセイの繁殖地はサハリン東岸や千島列島で、夏の繁殖期以外に上陸することは珍しい」。

4月13日 石川県羽咋郡宝達志水町の海岸に体長 1.6m のサメの死骸漂着。「日本海に生息するが、県内の海岸に打ち揚がるのは珍しい。」)

4月15日 長崎県大村市の岸壁にスナメリの死骸漂着。

4月20日 和歌山県田辺市の新文里港にイルカ 1頭が迷い込む。

4月20日 韓国・仁川内港にスナメリの死骸漂着。

5月1日 宮城県松島町の浅瀬にイルカ(ハナゴンドウ)が乗り上げる。ハナゴンドウはこの時期、千葉県以南にいて、松島湾に来ることは珍しい。

5月5日 青森県六ケ所村のむつ小川原港内で衰弱したゴマフアザラシの赤ちゃん(生後約 1ヶ月)が見つかり、保護。

5月6日 北海道大樹町の旭浜漁港にイルカ 1頭迷い込む。地元のベテラン漁業者も「旭浜で迷いイルカは初めて聞いた」。

5月9日 岩手県山田町沖の太平洋で、体長約 8m のクジラの死骸が漂流しているのが見つかる。

5月11日 和歌山県田辺市の神島でスジイルカの死骸が見つかる。体長 2.2m。

5月17日 大分県別府市の新若草港にイルカ 1頭が迷い込む。「沖ではよく見掛けるが、港の中に入ってくるのは珍しい」。

5月19日 鹿児島県大隅町沖の鹿児島湾口で高速船がクジラ(あるいはイルカ)と衝突。

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クジラの死体漂着 ― 大阪府堺市

5月 22日、堺市の堺泉北港内で体長約 8m のマッコウクジラと見られるクジラの死体が浮いているのが見つかりました:

堺泉北港内でクジラが見つかるのは近年聞いたことがない」とのことです。


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2010年5月22日土曜日

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 5)

現地時間 21日 15:05 現在、カトラ山周辺でさらに 2つ追加されました:
  • 4月29日 00:28:31 深さ 0.8 km M1.5
  • 4月29日 00:28:31 深さ 7.1 km M1.0
  • 4月29日 22:05:46 深さ 5.9 km M1.7
  • 5月17日 08:32:19 深さ 9.5 km M-0.2(?)
  • 5月20日 21:15:57 深さ 4.7 km M1.0
  • 5月21日 10:14:15 深さ 1.0 km M1.0
  • 5月21日 10:31:42 深さ 13.7 km M0.4
  • 5月21日 13:39:45 深さ 5.1 km M0.9

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2010年5月21日金曜日

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 4)

Image Credit: Icelandic Meteorological Office

今度は、規模は非常に小さいですがカトラ山のカルデラ内で発生しました (上図の右側の赤丸):
  • 4月29日 00:28:31 深さ 0.8 km M1.5
  • 4月29日 00:28:31 深さ 7.1 km M1.0
  • 4月29日 22:05:46 深さ 5.9 km M1.7
  • 5月17日 08:32:19 深さ 9.5 km M-0.2(?)
  • 5月20日 21:15:57 深さ 4.7 km M1.0 (深さとマグニチュードが修正されました)
  • 5月21日 10:31:42 深さ 13.7 km M0.4

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塵旋風を撮影 ― 長野県

5月 1日、長野県南佐久郡川上村(地図)で塵旋風(じんせんぷう)が撮影されていました:

まれな現象というわけではないとのことですが、短時間で消えてしまうことが多いため、写真にはっきりと捉えられることは珍しいようです。

スケールは違いますが、地震前兆ではないかといわれる「竜巻雲」に形は似ています。

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 3)

5月 20日、カトラ山のカルデラのすぐ外側で地震がありました。4月 29日に 3つの地震が発生して以降、これで 5つ目です:
  • 4月29日 00:28:31 深さ 0.8 km M1.5
  • 4月29日 00:28:31 深さ 7.1 km M1.0
  • 4月29日 22:05:46 深さ 5.9 km M1.7
  • 5月17日 08:32:19 深さ 9.5 km M-0.2(?)
  • 5月20日 21:15:57 深さ 2.9 km M1.3

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2010年5月20日木曜日

マントルの流動速度は速い

これまでマントルの流動速度はプレートの移動速度とほぼ同じと考えられてきました。しかし、少なくとも沈み込み帯では、マントルがプレートの動きの 20~30倍の速さで流動しているとの研究成果が、5月 20日付の科学誌『Nature』に掲載されるとのことです:

これは、カリフォルニア大学デービス校の研究者が、これまでで最も精密なコンピューター・モデルを構築し、アラスカ周辺での太平洋プレートの沈み込みをシミュレートした結果判明したものです。

この研究結果によって、地表のプレートの動きと地下のマントルの流れの間の関係が見直される可能性があります。また、沈み込み帯では地震を起こすエネルギーがこれまで考えられていた以上に豊富である可能性が出てきます。


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気象警報・注意報の出し方が変わります

以前から報道されているのでご存知の方も多いと思いますが、1週間後の 5月 27日(木)午後 1時以降、気象警報・注意報が市町村単位で出されるようになります:

解説パンフレットがあります:

上記パンフレットによると、変更後もテレビやラジオでは市町村名ではなく、これまでのように地域名が使われることもあるようです:
テレビやラジオによる放送は、多くの人々に一斉に情報を伝えることができる極めて有効な手段となっています。

大雨や洪水などの警報が発表された場合には、重要な内容を簡潔かつ効果的に伝えられるよう、これまでどおり市町村をまとめた地域の名称を用いて、警戒を要する地域をお知らせする場合があります。

私の場合、生活拠点の一つは一般的には神奈川県の「県央」と呼ばれる場所にあるのですが、気象情報の発表区域では、1次細分区域が「神奈川県東部」、2次細分区域が「湘南」。地震情報で使われる震央地名は「神奈川県東部」と「神奈川県西部」の境界付近になります。また、車のナンバーは「湘南」ではなく「相模」です。この付近に住んでいる人のほとんどは、「湘南地域に××警報」と言われても自分のところが該当するとは思わないと思います。

皆さんも以下の資料で、自分がどの区域に該当するか確認してみてはいかがでしょうか:

2010年5月19日水曜日

グリーンランドが加速度的に隆起

グリーンランドの沿岸部が 1年に 1インチ(約 2.5cm)の速さで隆起しているという研究報告が発表されました:

2025年までには隆起速度が 1年に 2インチ(約 5cm)にまで加速すると見込まれています。

グリーンランドは、沿岸部を除いて厚さ最大 2km に達する氷床や氷河に覆われています。しかし、これらの氷床や氷河の融解が急速に進んでおり、氷の重みが減少することによってグリーンランドの地殻が隆起していると見られています。

同様の現象がアイスランドやノルウェー領のスヴァールバル島(地図)でもおきているとのことです。

2010年5月18日火曜日

セント・ヘレンズ山の大噴火から 30年

アメリカ合衆国北西部・ワシントン州にあるセント・ヘレンズ山地図)は、現地時間 1980年 5月 18日午前 8時 32分に山体崩壊をともなう大噴火をおこしました。30周年に当たる今日、『ボストン・グローブ』紙の “The Big Picture” が写真特集を組んでいます:

30年前ということで、モノクロの写真がかなりあります。写真についてのコメントを以下に書きます。写真の番号は各写真の左下に表示されています。
2番: 大噴火前日のセント・ヘレンズ山。地震が多発していましたが、この写真で見る限りではいたって静かです。

3番: 大噴火の前日、火口湖で水のサンプルを採取する USGS(米国地質調査所)の火山学者 Dave Johnston。

4番: 大噴火の前日夕方、セント・ヘレンズ山近くのキャンプで野帳に何かを記入する USGS(米国地質調査所)の火山学者 Dave Johnston(当時 30歳)。十数時間後に大噴火が迫っているとは誰も考えていませんでした。翌朝 8時 32分、Johnston は USGS の本部に無線で “Vancouver, Vancouver, this is it!” (バンクーバー、バンクーバー、噴火だ!)と送信した直後に死亡しました。彼がキャンプしていた場所は、現在 Johnston Ridge (Johnston の尾根、地図)と呼ばれています。

12番: 噴火翌日の Ephrata 空港上空。すさまじい量の火山灰が押し寄せています。

14番: 山体崩壊によって北側斜面にできた馬蹄型のクレーター。深さ 1500メートル、幅 4000メートル。

15番: 爆風か泥流によって引きちぎられた樹木。

16番: 爆風でなぎ倒された森林。

20番: 熱風で溶けたトラックのダッシュボード。

21番: 泥流に押し流された鉄橋。

24番: 爆風の到達範囲内にあった湖 Fawn Lake。湖面に見える白い点は湖水のサンプルを採取している科学者のボート。

25番: 爆風になぎ倒された木々。山の陰になって爆風を免れた部分の木々は倒れていません。

27番: 泥流の爪痕。立っている樹木の幹に、泥流の達した高さが白く残っています。右に移っている人物の背丈と比べてください。

33番: 山体崩壊後、山麓に形成された「五色沼」。水に含まれる化学成分の違いによって水色に差が出ています。日本の磐梯山も山体崩壊を起こしたことで有名ですが、その麓にも五色沼があります。

36番: セント・ヘレンズ山周辺は大噴火によって不毛の荒野となりました。この写真は 4年後に撮影されたものです。

37番: 今年 5月 7日に撮影されたセント・ヘレンズ山。

山体崩壊の様子を撮した動画が以下にあります:

QuakeFinder 社が電磁気的前兆を観測

5月 5日にペルーとチリの国境付近で発生した地震(M6.2、深さ 37km)の電磁気的前兆を捉えていたと、QuakeFinder 社が発表しています:

上記発表内容をまとめると以下のとおりです:
前兆を捉えていたのは、震央から 29km 離れたところに設置していた観測装置。観測された前兆は、磁気パルスと大気伝導度の変化。

磁気パルス ―― 継続時間 0.3 ~ 10 秒で、正方向のみ、または負方向のみの単極パルス。地震発生の 12~13 日前から出現。磁気嵐などに由来する正負両方向に振れる振動は除外。通常は 1日あたり 20パルスを下回るが、地震発生前の 2週間は 1日あたり 120~160パルス超に増加。地震発生後に消失。

大気伝導度 ―― 地上数メートルの大気中に存在する帯電した粒子の数の指標。地震発生前の 1週間は、負に帯電した粒子が 300%を超えて増加し、地震発生後に元にもどった。

磁気パルスと大気伝導度の観測データは、NASA(Freund 博士)の理論 ―― 震源における圧力の変化が地下の大電流と磁気パルスを発生させる ―― を支持している。

QuakeFinder 社は、本拠地である米国カリフォルニア州に多数の観測点を設置しています。サンアンドレアス断層系でおきる地震について、これまでも前兆を捉えた実績を持っています。しかし、同断層系は横ずれ断層であるので、プレート境界の逆断層でも同じような前兆が捉えられるか、確かめる必要がありました。そこで、ペルーの大学と共同で同国内の 2か所に観測点を設けたところ、その内の一つの近くで今回の M6.2 の地震が発生しました。

「QuakeFinder 社」と書いていますが、実際は航空宇宙関連企業 Stellar Solutions 社の 1部門です:
QuakeFinder, the Humanitarian R&D division of Stellar Solutions, is located in Palo Alto, CA, and conducts pioneering research in the area of earthquake forecasting with the ultimate aim to develop, within the next decade, a global earthquake warning system.

QuakeFinder 社については、このブログを始める前、地震予知系の掲示板で何回も紹介した記憶があります。同社の地震予知技術については以下を参照してください:

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 2)

4月 29日に 3つの地震(いずれもマグニチュード 1 クラス)が発生して以降、静かだったカトラ山ですが、5月 17日に カルデラの地下 9.5km で地震が記録されています。

ただし、マグニチュードの値が 「-0.2」 となっており、今後修正されるか、誤報として取り消される可能性があります:
  • 4月29日 00:28:31 深さ 0.8 km M1.5
  • 4月29日 00:28:31 深さ 7.1 km M1.0
  • 4月29日 22:05:46 深さ 5.9 km M1.7
  • 5月17日 08:32:19 深さ 9.5 km M-0.2

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「はやぶさ」が地球を撮影

日本の小惑星探査機「はやぶさ」は 6月 13日に地球に帰還する予定ですが、その姿勢制御用カメラが 5月 12日に地球と月を捉えました。姿勢制御用カメラのため、解像度や画質は良くありません:

なお「スミア」(smear)とは画像処理の分野で使われる言葉で、「汚れ」や「染み」を意味しています。


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2010年5月17日月曜日

フッド山で群発地震 ― オレゴン州

5月 14日、米国オレゴン州北部、ワシントン州との州境に近いところにあるフッド山(標高 3426m、地図)でマグニチュード 3 を最大とする群発地震が発生しました。震源はフッド山の東方約 17km、深さ約 6km のあたりに集まっているとのことです:

フッド山は、USGS(米国地質調査所)が 2005年に全米 169の火山を脅威の程度と監視能力によってランク付けした際、トップ 5 に入った火山です。ちなみに、この時の 1位はハワイのキラウェア山、2位はワシントン州のセント・ヘレンズ山でした。

フッド山周辺では数年ごとに群発地震が発生しており、今回の群発地震がただちに噴火に結びつく可能性は低いとのことです。2002年にはマグニチュード 4.5 の有感地震を含む 200以上の群発地震が発生、2006年には最大マグニチュード 2.1 を含む群発地震が発生。昨年は 50以上の小地震が発生しています。

フッド山が最後に噴火したのは 19世紀です。

日暈と環水平アーク ― 山形県・新潟県

5月 16日、山形県から新潟県にかけての広い範囲で日暈と環水平アークが見られました:

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ボイジャー 2号が異常データ送信

木星や土星などの外惑星を探査するために 1977年に打ち上げられたボイジャー 1号と 2号。両探査機は現在、地球から 169億キロと 138億キロ離れたところを飛行中です()。人工物体としては人類史上最も遠い地点に到達しています。今後 5年程度でヘリオスフィア(太陽圏)から抜け出て、恒星間宇宙を飛行する初めての探査機になると見込まれています。

しかし、ボイジャー 2号から送信されてくる観測データが 4月 22日から異常を示し始め、地上でデータを解読できない状態が続いています:

地上の技術者チームが原因を分析中で、ボイジャー 2号は探査機自体の状態を送信するだけのモードに置かれています。探査機本体に異常はなく、どうやら、観測データを地球に向かって送信する前にその形式を整える機能を持った flight data system に障害が発生しているようです。

打ち上げから 33年が経過し、その間ずっと宇宙の厳しい環境に曝されてきた装置ですから、故障してもおかしくはない、と言うよりはこれまで不具合がおきていなかった方が不思議なくらいです。

技術者のチームは、なんとか機能を修復しようと試みています。しかし、138億キロ離れたところにいるボイジャー 2号に指令が届くのに 13時間、応答が返ってくるのにさらに 13時間かかるので進捗ははかばかしくないようです。

このボイジャー 2号の事態について、やはりと言うべきか、トンデモ屋さんたちが珍説を唱えています:

何人かのトンデモ屋さんが同じことを言っているようです。ボイジャー 2号の機体には何の異常もなく、送られてくるデータだけが想定外の形式で解読できなくなっているのは、エーリアンがボイジャー 2号を乗っ取って装置をリプログラムし、地球人とコンタクトするためのメッセージを送ってきているのだ、という考えです。

そんな持って回ったことをせず、自分たちの宇宙船から電波を送ったり、直接地球に飛来したりすれば良いのでは、…… と私は思うのですが。


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木星の南赤道縞が消失

木星の表面には、赤道と平行に走る何本かの縞模様が見えます。その中でも、アマチュアの所有する小口径望遠鏡でもはっきり見えるのは北赤道縞 (NEB: North Equatorial Belt) と南赤道縞 (SEB: South Equatorial Belt) です。縞模様は幅が太くなったり細くなったり、色が濃くなったり薄くなったりします。昨年頃から南赤道縞に「淡化の兆しがある」と言われていましたが、このほど完全に見えなくなってしまいました。

以下は “ASTRO BOB” のブログ記事ですが、木星の写真 3葉と動画 1本が掲載されています:

上から 1番目の写真は、木星の縞模様の名前を説明しています。

2番目は動画で、木星の雲の動きを捉えています。南赤道縞を擦るようにして大赤斑が移動していく様子に注目してください。

3番目の写真は、昨年 6月(左側)と今年 5月(右側)に撮影された写真を比較のために並べています。昨年の写真でははっきり見えていた南赤道縞が、今年の写真では消えてしまっています。

なお、今年(右側)の写真で大赤斑が写っていないのは、木星の自転のために地球から見て木星の裏側に回ってしまったためです。南赤道縞と一緒に大赤斑も消えてしまったわけではありません。

4番目の写真には、淡化した南赤道縞と大赤斑が写っています。

南赤道縞の淡化・消失は 3~15年程度の間隔でおきる現象で、とりたてて異常なことではありません。消失の原因ははっきりしていませんが、木星大気の気象パターンが変化して南赤道縞を構成する雲の温度が低下、それにともなって雲頂高度が下がり、周囲の明るい色の雲の中に沈んでしまうため、とも言われています。


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2010年5月16日日曜日

Infrasound: 超低周波不可聴音

人間が音として知覚できる最も低い周波数は 20Hz (20ヘルツ=毎秒 20回の振動)とされています。この限界より低い周波数の音が Infrasound (超低周波不可聴音、以下「超低周波音」)です。

ゾウ、キリン、クジラなどの動物は超低周波音を個体間の通信に使っているといわれています。また、クジラは超低周波音を一気に放出することによって獲物を麻痺させることがあるそうです。

以下の記事に、ゾウが超低周波音を聴き取っている様子を撮影した動画が掲載されています:

この動画には、ゾウの個体や群が鼻の先端部を地面に接触させたままじっと動かずにいる様子が写っています。これが、地面を伝わる超低周波音を聴き(感じ)取っているところなのだそうです。ゾウはこのようにして嵐や雷の発する超低周波音を感知し、自然災害を避けたり、水のある(雨の降っている)場所を知ったりするとのことです。

2004年におきたインド洋大津波のときには、津波の到来前にゾウが高台に向かって避難する行動が見られたとの報道がありました。これは、ゾウが地震や津波によって発生した超低周波音を感じ取っていたからだと説明されています。

記事には次のようなことも書かれています:
超低周波音は、さまざまな原因で発生します。山岳部を風が通りすぎるとき、波浪が岸に打ちつけるとき、地震がおきるとき、等々。また、オーロラが上空に現れると超低周波音が「聞こえる」という人もいます。

核爆弾が爆発するときにも超低周波音が発生します。そのため、核実験の探知手段としても使われます。

超低周波音の人体に対する影響については、まだよくわかっていない部分がありますが、数日間継続する頭痛や吐き気の原因になるといわれています。場合によっては、不安・悲哀・恐怖などの感情を引きおこす可能性も指摘されています。さらに、超低周波音にさらされると、人によっては超自然的な何らかの存在を見たり感じたりするとの報告もあります。

いわゆる 「体感」 によって地震を予知できるという人たちがいます。もしそれが事実であるとすれば、地震の前兆として発生する超低周波音が人体に引きおこす何らかの変調を 「前兆」 として知覚しているのかも知れません。もっとも、当人たちは電磁波を感じ取っていると思い込んでいるふしがありますが。


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ロサンゼルス上空に彩雲

5月 13日、いつ大地震が起きてもおかしくないと言われるロサンゼルスの上空に彩雲 (rainbow cloud) が出現し、大地震の前兆ではないかとツイッターなどで話題になっています:

記事によれば、この彩雲は 中国・四川省の大地震(2008年)や、チリの大地震(2010年)の前に現れたものと同じだとのことです。たしかに、四川大地震の前には彩雲が現れていました。しかし、チリの地震の前にも現れていたのでしょうか。私は、大地震が起きるたびに、過去に遡って現地の報道記事などをチェックし、宏観前兆が現れていなかったかを調べていますが、チリの地震については管見の限りでは彩雲の報道はありませんでした。

この件についてのツイッターの流れは以下で見ることができます:

彩雲が地震の前兆であるか否かについて、アメリカの専門家は 「都市伝説の一種」とバッサリ切り捨てています。

私も彩雲が地震と関係しているという考えには懐疑的です。理由はいろいろありますが、過去の記録もその一つです。日本書紀に始まる六国史や平安時代の貴族の日記などには彩雲と思われる現象がかなり記録されています。しかし、それらの現象の後に大きな地震が記録されているケースはまれです。

また、当時の人たちは彩雲を吉兆と見なしていました。もし彩雲が地震の前兆であるならば、現代人と比べて自然と密着した暮らしをしていた当時の人たちが気づかぬわけがなく、彩雲を凶事の前兆として扱っていたのではないでしょうか。

チリの領土が拡大

2月 27日に発生した M8.8 の大地震にともなう地殻変動で、チリの領土が 1.2km² 広がったそうです:

大地震によって、チリの海岸部は西に最大 4.7m 移動。一方、東隣のアルゼンチンとの国境をなすアンデス山脈も西に約 1m 移動。差し引き平均約 3m 幅の増加が南北 400km にわたって生じたため、 1.2km² (400km × 0.003km) の面積がチリの領土に付け加わった計算になるとのことです。

チリの国土は、太平洋側から南アメリカ・プレートの下に沈み込んでいるナスカ・プレートの運動によって東向きに押され、海岸線とアンデス山脈の間の国土が圧縮されます。両プレートの間で大地震が発生すると、それまで東向きに押され圧縮されていた南アメリカ・プレートが反発して元の状態にもどろうとします。これが今回の地震でチリの国土が拡大した理由です。

しかし、今回の地震でせっかく拡大した領土も、150年から 180年の周期で発生する次の大地震までの期間に徐々に減少してもとの状態にもどってしまいます。そして、次の大地震で再び拡大することになります。

チリは、このように痩(や)せる期間と大地震によって一気にリバウンドするというサイクルを繰り返しています。


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2010年5月13日木曜日

カエルの大行列 ― 今度は江蘇省南京市

4月初旬、 四川省成都市(地図)に小形のヒキガエルの大行列が現れましたが、今度は江蘇省南京市(地図)です:

大群が現れたのは、5月 10日早朝のことです。記事に掲載されている写真を見る限りでは、小形のヒキガエルで四川省に現れたものと近縁か同一の種類のようです。

地元に 30年以上住んでいる人の話では、これまでにもカエルの群は現れていたが、今回ほど大量に現れたのは初めてだとのことです。

例によって、地震学者は 「地震の前兆ではない」、動物学者は 「涼しい場所を求めて移動しているだけだ」 との見解です。

しかし、四川省の場合とは違って、南京市の地震局は現地に地震監視職員(複数)を派遣し、詳しい調査を始めています。これは、「南京市が 6月 13日にマグニチュード 7 から 8 の大地震に襲われる」 とのうわさが、先月来ネット上で広がっていることが影響しているのかも知れません。

なお、このうわさについては、25歳の女性がうわさを広めた容疑で身柄を拘束されています。


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2010年5月11日火曜日

「人工雲」計画にビル・ゲイツ氏が出資

人工の雲によって太陽光を反射し、地球温暖化をくい止めることを計画している企業に、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏が 30万ドルを出資したとのことです:

以下に記事をまとめます:
この企業は、サンフランシスコを拠点としジオ・エンジニアリング(地球工学)を専門とするシルバー・ライニング社。

毎秒 10トンの海水を汲み上げて微粒子化し、高さ約 1000メートルの空中に吹き上げる船を設計。吹き上げられた微粒子が核となって雲が発生。既存の雲も密度と白さが増す。この雲によって太陽光を反射し、地球温暖化をくい止める。

50億ドルを投入して 1900隻の船を建造し、世界中の海洋に配置して稼働させれば、温暖化をくい止められる。

昨年 12月に開かれた COP15 コペンハーゲン会議では、温暖化を防止するための効果ある合意は得られなかった。このような状況で国際的な合意を待っていては手遅れになるとして、シルバー・ライニング社では、10隻の船を建造して 1000平方メートルの海に展開し、試験的に稼働させることを計画している。

計画を主導している技術者によれば、飛行機から硫化物の微粒子を成層圏に散布する方法などに比べれば、この技術は弊害が少なく、降水量などに変化が出るかも知れないが、装置のスイッチを切れば「後遺症」を残すことなく中止することができるので安全であるとのこと。

エジンバラ大学名誉教授で工学的設計が専門の Stephen Salter 氏は、大気に化学物質を加えるわけではないので、規制ができるのを待つことなく試行をおこなうべきだとの意見。

一方、イギリス政府の主任科学顧問であった David King 卿は、国境を越えて影響が広がるような実験をおこなうには国際的な規制が必要だ、「地球工学的な解決方法というものには、想定外の影響が出たり、費用がかかりすぎたりといった問題がつきものだ」と語っている。

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2010年5月10日月曜日

捕鯨戦争 (その 3)

先月末、シー・シェパードのポール・ワトソン代表に逮捕状が出ていたとの報道がありました:

このワトソンという人物、昨年か一昨年におきた日本の捕鯨船団との衝突のあと、ひしゃげた銃弾を報道陣に見せて 「日本の船から銃撃され負傷した」 と主張したことがありました。捕鯨を阻止するためなら平然と嘘をつき、どんな行為も正当化できると考える 「何でもあり」 な人という印象があります。

そのことを裏付けるような記述が、『クリスチャン・サイエンス・モニター』誌のサイトに掲載された記事にあります:

その部分を以下に翻訳します:
メディア戦術にたけたワトソンは、いかなる法廷審問をも自分たちの考え ―― あらゆる捕鯨は非合法であり、彼の言葉によれば日本は事実上の「密漁者」である ―― を力説することに利用するだろう。

彼が信用のおける証人としてふるまうことは望み薄である。なぜなら、彼は以前から環境保護活動家に対して、自分たちの主張にうそを交えることを強く勧めてきたからである。

彼が 1993年に自費出版した『Earthwarrior』(地球の戦士)という環境保護活動家のための戦術ガイドの 43ページには、次のように書かれている: 「答えに窮したり、事実や統計を知らなかったりしたときには、とにかくアメリカ大統領の例に倣ってロナルド・レーガンのようにふるまえ。その場で話をでっち上げ、その情報を自信を持ってためらうことなく発言するのだ。」

シー・シェパードのウェブ・サイトには “Equality Statement”(平等な立場の表明) として次のような文言が書かれています:
環境保護団体・シーシェパードは、人種、肌の色、宗教や信仰の違いに偏見なく、公平な立場で、絶滅の危機に瀕した海洋生物・海洋エコシステム保全を目的に制定された国際自然保護法を駆使して、国際的に活動しています。

(中略)

シーシェパードは特定の国や文化を否定しているのではありません。海洋エコシステム保全の為に、そして地球上の 全ての命の為に活動しています。我々は、法律に反する行為、犯罪にのみ抗議します。

しかし、日本の捕鯨船団に対する「抗議」活動が、ノルウェーやアイスランドの捕鯨に対するものに比べて格段に激しく執拗であるのを見るにつけ、背景にはアジア人・モンゴロイドに対する人種差別感情があるのでは、との疑念がどうしてもわき上がってきます。

ワトソン容疑者のアップの顔写真を見ると、目元あたりにアジア系の雰囲気を私は感じます。想像ですが、ワトソン容疑者は自分の身体にアジア系の血が流れていることを嫌悪しており、そのことが日本人に対する憎悪と攻撃をいっそう先鋭化させているのではないでしょうか。ちょうど、ナチス・ドイツのヒトラーが自分の家系(祖父?)にユダヤ人がおり、自分にもユダヤ人の血が流れているのではと恐れたことが、ユダヤ人に対する迫害に拍車をかけたとの説があるように。


(完)


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2010年5月9日日曜日

地震がおきるわけ: 珍説・奇説の面々 (その3)

記事が最後に取り上げているのは、バンクーバー在住の環境ジャーナリスト、Alfred Webre 氏です。記事に掲載されている顔写真を見たとき、一瞬、ベネズエラのチャベス大統領かと思ってしまいました。同氏のウェブ・サイトを眺めると、HAARP とか 新植民地主義といった言葉が頻出しており、どのような志向の人物か、おおよそ想像がつきます。

以下に Webre 氏の主張をまとめます:
最近の地震の原因は単純だ。強力なドル、あるいはそれに対する願望だ。

地震を引きおこす電磁気的兵器をアメリカとロシアが開発したことについては、十分な証拠がある。最近チリとハイチでおきた地震は、これらの兵器によって引きおこされた。

ハイチの地震の原因は、広島に落とされた原子爆弾よりも多くの死をもたらす 'seismic bomb' (地震爆弾)である。

ハイチの存在するイスパニョーラ島の地下には、膨大な量の金と石油が埋蔵されている。ハイチ政府は、外国勢力がそれらの資源を開発することを長いあいだ拒んできた。

ハイチの地震は、ハイチの政府と社会基盤を崩壊させ、地下資源の開発を始められるようにするために計画された。

一方、チリの地震は南アメリカの各国政府に対して警告を発するために計画された可能性がある。

イギリス領フォークランド諸島(アルゼンチン名:マルビナス諸島)には莫大な量の石油が埋蔵されている。ベネズエラの独裁者、ウゴ・チャベス大統領が中心となっている南アメリカの複数の国からなるグループは、同諸島の資源がイギリスからアルゼンチンに引き渡されるように働きかけている。

チリの地震は、南アメリカ諸国の人びとに対して、フォークランド諸島の石油資源よりも心配しなければならないことがあることを思い知らせる巧妙な手段だ。

典型的な陰謀説系トンデモ説です。「その1」 や 「その2」 で取り上げた説がトンデモの中でも異端であったのに比べると、こちらはトンデモの正統派です(笑)。


(完)


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2010年5月8日土曜日

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主虹(一次虹)・副虹(二次虹)の違いについては以下を参照してください: