2010年4月27日火曜日

ホーキング博士、エーリアンを語る

現代最高の理論物理学者の一人といわれ、車椅子の科学者としても知られているスティーヴン・ホーキング博士が、「エーリアンは存在するかもしれないが、破滅的な結果をもたらす恐れがあるので、コンタクトは避けるべきだ」と警告したそうです。多くの科学者や SF 作家が、これまで幾度となく議論を繰り返してきたテーマですが、ホーキング博士に言われるとそうかなと思ってしまいます:

どうもホーキング博士の頭の中には、映画 『インディペンデンス・デイ』 に登場するエーリアン ― イナゴの群のように、惑星の資源を消費し尽くしては別の新しい惑星に移っていくことを繰り返す ― があるようです。博士は次のように語っています:
We only have to look at ourselves to see how intelligent life might develop into something we wouldn’t want to meet. I imagine they might exist in massive ships, having used up all the resources from their home planet. Such advanced aliens would perhaps become nomads, looking to conquer and colonise whatever planets they can reach.

私自身は、この広大な宇宙には人類以外の知的種族が必ず存在する思っています (人類がはたして知的であるかについては議論がありますけれど) 。しかし、彼らが地球にやって来ているかとなると話は別で、その可能性は限りなく低いと考えています。ホーキング博士は彼らとのコンタクトは避けるべきだと語っていますが、私は、恒星間飛行を達成している種族であれば、高度に理性的で倫理観も発達しているので、地球人類に対して害を及ぼすことはないと思いたいです。

エーリアンとのファースト・コンタクトを描いた SF 小説として古典的な名作が 2つあります。宇宙空間で偶然エーリアンの宇宙船に遭遇した人類。千載一遇のチャンスを生かして、相手の文明について可能な限り情報を得たい、しかし、地球の位置などを相手に知られると人類の存亡に関わる危険がある …… そのような状況で人類側の対応が両極端に分かれています:


▼「宇宙翔(あまか)けるもの」 イワン・エフレーモフ(ソ連)
地球から数百光年離れた宇宙空間で、人類の宇宙船が異星の宇宙船と遭遇。相手は、姿形こそ人類と似通っているものの、酸素ではなくてフッ素を呼吸するエーリアン。彼らの空気は人類にとって猛毒。人類の空気は彼らにとって猛毒。しかし、互いに相手の意図を疑ったり武器を用意したりすることはなく、さまざまな相違と悪条件を克服して、友好関係を樹立。双方の乗組員の中には、恋愛に近い感情すら芽生えて …… という善意に満ちた楽天的かつ理想主義的な展開です。

▼「最初の接触」マレイ・ラインスター(アメリカ)
地球から 4000光年離れたカニ星雲を調査していた地球の宇宙船。探知機が 8000マイル彼方に正体不明の物体を捕捉。船内に警報が鳴り響く。物体は急速に接近してくるとともに、探知機のビームのようなものをこちらに向けて発射している。「探知機まで そなえた船に乗ってるやつは誰なんだ? 人間ではないぞ、これは!」 船長は通話機のボタンを押して怒鳴った。「直ちに行動せよ! 全員武装! 全区、非 常警戒態勢につけ!」

このあとの展開は、これから読 む方もおられると思うので割愛します。

〈 引用部分は、福島正実・伊藤典夫編 「世界の SF(短編集) 現代篇」早川書房から 〉

上記 2つの小説は、人類側の行動が対照的だということでよく比較されます。

もう一つ私が気に入っているファースト・コンタクトものは「天翔(あまか)ける十字軍」(ポール・アンダースン)です。14世紀のイギリスにエーリアンが新たな植民地を求めて飛来。高度な科学技術と圧倒的な武器をもつエーリアンだが、刀や弓を使った接近戦にはめっぽう弱くて …… というお話です。

話が少しそれてしまいましたが、エーリアンの存在について考えるとき、必ず登場するのが「フェルミのパラドックス」です:

また、「動物園仮説」というものもあります:

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