2010年4月19日月曜日

温暖化でアイスランドの火山が活発化

『サイエンティフィック・アメリカン』誌のサイトに次のような記事が掲載されています:

記事は、アイスランド大学の火山学者 Freysteinn Sigmundsson 氏らの説を紹介しています。どのような説か簡単にいうと ―― 地球温暖化によってアイスランドのアイスキャップ(氷冠、万年雪、氷河など)が溶けると、地下に加わる圧力が減少する。圧力が減少すると、同じ温度であっても地下の岩石は液状のマグマに変化しやすくなる。このようにしてマグマが増加すると、火山噴火の規模が大きくなったり、噴火の頻度が高まったりする。気候変動によって今後数十年でアイスキャップの融解・縮小が進むと、アイスランドでは火山噴火が増加する ―― というものです。

実際に、氷河期が終わった 1万年前には、巨大なアイスキャップが縮小し陸地が隆起したため、アイスランドでは火山活動が急増したとのことです。

Sigmundsson 氏らが 2008年に発表した論文には ―― Vatnajokull と呼ばれるアイスランド最大のアイスキャップは 1890年以降約 10% 減少し、周辺の土地は 1年あたり 25mm 隆起、地下の圧力に大きな変化が生じた。その結果、地下では過去 100年間に 1.4 km³ のマグマが生成されたと推定される ―― と書かれています。

ただし、現在ヨーロッパの航空路線を麻痺状態に陥れているエイヤフィヤトラヨークトル氷河下の大噴火については、地球温暖化によるアイスキャップの縮小が原因であることを示す兆候はない、とも Sigmundsson 氏らは語っています。エイヤフィヤトラヨークトル氷河がアイスキャップとして比較的小さく軽量であるため、その縮小が今回の噴火の主要な引き金となったとは考えられないとのことです。

イギリス・リーズ大学の地球物理学者 Carolina Pagli 氏は、同じ理由(地球温暖化によるアイスキャップの減少)によって今後火山噴火や地震が増えるリスクがある地域として、南極大陸のエレバス山、アラスカ州のアリューシャン列島、南アメリカのパタゴニア地方を挙げています。


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