2010年3月31日水曜日

ミマスの奇妙な温度分布

土星の衛星ミマスの表面温度を、土星探査機カッシーニが観測したデータが公表されました。予想外の結果に驚きが広がっています:

上のページには 4つの画像が収められています。
  • 左上: 理論的に予想されていた温度分布。太陽光線が真上から当たる部分ほど高温になるので、このような同心円状の分布になると予想されていました。
  • 右上: 実際に観測された温度分布。
  • 左下: 可視光線で撮影されたミマスの表面。中央部右寄りに見えているのはミマス最大のハーシェル・クレーター。
  • 右下: 右上の温度分布と左下の表面画像を合成したもの。

右下の画像は、まるでテレビ・ゲームのパックマンがハーシェル・クレーターに食いつこうとしているように見えます。おまけにパックマンには目もあるようです。

この奇妙な温度分布を説明する仮説としては、表面物質の熱慣性や熱伝導率の違いによるものだとの説が提案されています。パックマンの部分は熱慣性が大きく熱を失いにくい物質で覆われているのに対して、ハーシェル・クレーターを含む領域は熱伝導率が高い物質で覆われており、太陽から得た熱が地下の物質に奪われやすいのだろう、という説明です。

この仮説で温度の違いが生じる理由は説明がつくとしても、なぜ表面物質がパックマンのような分布になっているのかは疑問のままです。また、パックマンの口の部分がほぼ直線状で、温度勾配も非常に急であることも不思議です。今回撮影された半球の裏側では温度分布がどうなっているのか、まだわかっていませんが、ハーシェル・クレーターが低温部分の中心に位置しているように見えるのも気になるところです。


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水星と金星 ― 夕方の西空に

またぞろ UFO と勘違いする人がでるかも知れないので、簡単に書いておきます。最近、夕方の西空に水星と金星が明るく輝いています。

水星は、ほぼ真西の方向で、明るさは 0等級前後。日没時の地平線からの高度は、4月 9日に最も高くなり、20度弱になります。その後は徐々に高度を下げ、5月になると日の出前後に東の地平線に見えるようになります。

金星も、ほぼ真西の方向で、明るさはマイナス 4等級前後。日没時の地平線からの高度は、4月初めには水星と同じ程度です。その後は徐々に高度を上げて、6月には 30度近くに達します。

地平線近くにある天体は、水星や金星のような惑星であっても、大気のゆらぎによって瞬いたり、色や形が変わったりします。私自身は目撃したことがありませんが、ときには 2つに分かれて見えることもあるようです。特に金星は UFO と誤認されることが多く、流れている薄雲を通して金星を見ると、金星の方が移動しているように錯覚しがちです。

最近、アメリカ五大湖の一つ、エリー湖の上空に毎夜 UFO が出現するというニュースが流れました。多くの目撃者がいて、ビデオ映像にも記録され注目を集めました。TV のニュース番組では、航空関係者、軍関係者や NASA、あげくは UFO 専門家などにインタビューして、航空機や人工衛星の可能性はない云々などとやっていたようです。

しかし、私に言わせれば 「なぜ天文学者に問い合わせないのか」 の一言です。そうすれば、UFO の正体が金星であることがすぐにわかったのではないかと思います。おそらく TV 番組のスタッフの中にも気づいていた人が何人もいるのではないかと思います。なぜなら、複数の目撃証言の中に、「毎晩同じような位置に現れて、1~2 時間で見えなくなる」という情報が含まれていたからです。これは UFO の正体が金星であることを強く示唆しています。それに金星が見えるはずの位置と UFO が出現する位置が一致しています。目撃者が UFO だと言いはっても、「あなたが UFO を目撃したときに、金星はどこに見えていたか」と問えば、それ以上よけいな問答は不要でしょう。

2010年3月30日火曜日

サケガシラ捕獲 ― 和歌山県田辺市

和歌山県田辺市の田辺湾で、体長 2.4m の深海魚サケガシラが網にかかっているのがみつかりました:

この地域では「捕獲や打ち上げは数年に一度程度。浅場に来る理由ははっきり分かっていない」とのことです。

和歌山県田辺市の位置を、以下のグーグル・マップにマークしました:

田辺市の南に隣接する白浜町では、今年初めから自噴泉がたびたび停止しているとの報道がありました:

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新燃岳が小規模噴火

新燃岳が小規模な噴火をおこした模様です。火口周辺で降灰が確認されました。新燃岳の噴火は 2008年 8月 22日以来とのことです:

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新燃岳の噴火警戒レベル引き上げ

霧島山(新燃岳)の噴火警戒レベルが 2 に引き上げられました:

福岡管区気象台・鹿児島地方気象台が 30日 9時 10分付けで発表した情報の要点は以下のとおりです:
  • 新燃岳では、本日(30日)07時 34分頃から火山性微動が観測され、現在も継続
  • 遠望カメラでは、08時 00分頃から白色噴煙の量が増加
  • 新燃岳では火山活動が高まっており、今後、火口周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性
  • 火口から概ね 1km の範囲では、弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒が必要
  • 風下側では、降灰及び風の影響を受ける小さな噴石(火山礫)に注意が必要

新燃岳は、現在活発な活動を続けている桜島の北東約 40km のところにあります。

新燃岳の位置を以下のグーグル・マップにマークしました:

ヒキガエルの繁殖行動とラクイラ地震

昨年 4月 6日にイタリア中部の都市ラクイラ(L'Aquila)とその周辺を襲った M6.3 の地震では、300人にせまる死者が出ました。この地震の前からヒキガエルの繁殖行動が大きく変化していたという報告が、ロンドン動物学会の機関誌 『Journal of Zoology』(動物学ジャーナル)に掲載されました:

ヒキガエルは、何らかの地震前兆シグナルを察知して、行動を繁殖モードから避難モードに変えるようです。

以下に記事をまとめます:
ラクイラ地震の 5日前までにオスのヒキガエルの 96% が繁殖地を放棄した。この繁殖地は、地震の震源地から 74km のところにある。地震の 3日前には、この繁殖地でのつがいの数が 0 になった。

本震の発生以降、M4.5 を超えるものとしては最後の余震が起こった日までの間、この繁殖地では新しい卵が見つからなかった。

ヒキガエルの繁殖地ではオスが多数を占める。通常、ヒキガエルは、繁殖行動が始まってから産卵が終わるまでは繁殖地にとどまる。

ヒキガエルの行動の変化は、VLF(超長波: 周波数 3kHz~30kHz、波長 100km~10km の電磁波)を使った観測によって検出された電離層の擾乱と同時期に起こった。

電離層の擾乱の原因は確定できなかった。

ヒキガエルの行動に影響するその他の環境要因として、月の位相や気象条件の変化も検討された。研究対象となった繁殖地では、ヒキガエルの繁殖が満月の期間中に増えることが知られていた。しかし、地震発生以降、満月の時期に現れたヒキガエルの個体数は、前年までは 67個体から 175個体の間であったのに対して、34個体であった。

報告の主執筆者である Rachel Grant 博士は、自分たちの研究は、地震発生前、余震継続中、そして余震収束後の全期間にわたって動物の行動を記録した最初のもの(one of the first)だと位置づけ、「ヒキガエルは、ガスや荷電粒子の放出などの地震前兆シグナルを感じとることができ、それを地震の早期警報システムとして使っていることを、われわれの発見は示唆している」と語っています。


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地震の神話・伝承

アメリカ・カリフォルニア州でジャーナリズムや写真を勉強している学生たちが発行する新聞 『Valley Star』 のサイトが、地震にまつわる各国の神話や伝承を集めた記事を掲載しています:

ギリシャ、日本、ペルー、メキシコ、インド、ロシア、モンゴルが取り上げられています。

日本の話には、“Namazu” や “Kashima” という言葉が登場します。“mighty rock” は「要石」(かなめいし)のことです:
The Japanese myth for earthquake is quite different. A giant catfish (Namazu) lived in mud beneath the earth. The catfish liked to play pranks and could only be restrained by Kashima, a god who protected the Japanese people from earthquakes. So long as Kashima kept a mighty rock with magical powers over the catfish, the earth was still. But when he relaxed his guard, the catfish thrashed about, causing earthquakes.

鹿島大明神とナマズに関しては以下が参考になります:

私は、ペルーとロシアの話がおもしろいと思いました。ペルーの話は次のようなものです:
神様が人間の数を数えるために地上にやってくると、その歩みによって地震が起こる。神様がはやく仕事を済ませてくれるように(地震がはやく収まるように)、人びとは家々から走り出て(神様が数えやすいように)「私はここにいます、私はここにいます!」と叫ぶ。この神話は、地震の際にどうすべきか(屋外に避難すること)を教えている。
むかしプレイステーションで遊んだゲーム 『ポピュラス』の世界を思い出してしまいました。

一方、ロシアのシベリア地方に伝わる話は以下のとおりです:
トゥーリという名の神様が大地を載せたそりを、ノミがたかったイヌに引かせている。イヌが止まって痒いところを掻くと、地震が起きる。

願わくば、ノミが大地に降ってきませんように。


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バナナの突然変異続く ― 沖縄県

沖縄県うるま市で、幹に直接実をつけたバナナが見つかりました:

記事によれば、「那覇市でも同じような実の付け方をするバナナが発見されている。原因は恐らく実がなる前に細胞分裂の段階で起きた突然変異ではないか」、「バナナの突然変異が続けて起こるのは面白い」とのことです。

うるま市の位置を以下のグーグル・マップにマークしました:

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ペンギンの漂着が急増 ― ブラジル

南米大陸南端の沿岸部で繁殖するマゼランペンギンが、南回帰線近くの海岸にまで漂着する事例が増えているそうです:

原因はいろいろ指摘されているようです。記事によれば、「海洋汚染によって弱まったり、方向感覚が狂ったりした」、「乱獲によって魚類が減少したため、ペンギンがエサを探すためより遠くまで泳ぐ必要に駆られている」、「地球の温暖化により海流の流れ方が変わって」しまったことなどが原因の候補としてあげられており、それによって本来の生息地まで戻れなくなってしまったということのようです。

2010年3月29日月曜日

火星の岩に謎の皮膜

火星探査車オポチュニティが、コンセプシオンと名付けられた直径 10m ほどの非常に若いクレーターの周囲で、奇妙な皮膜(NASA は “コーティング” と表記)の付着した岩を発見しています。岩は、角柱状で食パンひと塊ほどの大きさがあり、チョコレート・ヒルズと呼ばれています:

2004年 1月に 2機の探査車が火星表面で活動を始めて以来 6年以上が経過していますが、このような状態の岩石が見つかったのは初めてとのことです。オポチュニティはコンセプシオンの周辺に約 6週間とどまって分析データの収集を続けました。その結果、チョコレート・ヒルズ自体は隕石の衝突によって放り出された岩盤の一部にほぼ間違いないことが判明していますが、付着している皮膜の正体ははっきりしていません。

皮膜の成因について現在有力な仮説は 2つあります。1つ目は、隕石衝突時の高温で部分的に溶融した火星の鉱物が付着したとする説です。隕石由来の物質でないことはオポチュニティの取得したデータから明らかで、隕石そのものは衝突時に蒸発してしまったと考えられています。2つ目は、隕石衝突のはるか前に、チョコレート・ヒルズの母体となった岩盤の割れ目に水の作用によって鉱物が蓄積、それが隕石の衝突によって表面に現れたとする説です。

現在、コンセプシオンの観察を終えたオポチュニティは、当面の目標であるエンデバーという名の大型クレーター(直径 19km)に向かって進行中です。大きなクレーターほど底が深く、より古い時代の地層や岩石が観察できると考えられているからです。もう一方の探査車スピリットは “トロイ”という名の砂地に車輪が沈み込んで移動できなくなっています。今後は、固定基地として運用され、火星の自転運動を精密に測定し、火星の内部構造を推定するためのデータを収集することになっています。


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2010年3月28日日曜日

宇宙から見たアイスランドの噴火

アメリカの人工衛星 “Earth Observing-1” が 3月 24日に撮影したアイスランドの噴火です:

解像度は 10m。溶岩流(lava flow)の周囲が緑色に写っているのは、撮影に使用したセンサーの技術的な問題で、実際の色ではないとのことです。

画面の左上隅から右下に向かって、氷河(氷冠)に亀裂が入っているように見えるのが気になります。


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2010年3月27日土曜日

温泉の水量不足 ― 広島県庄原市

広島県庄原市東城町の温泉で、水量不足のため 1ヶ月以上も「真水」営業が続いています:

「温泉の水量が減った原因は不明。日本温泉協会(東京)によると温泉が枯渇しかかっていたり、水位が下がっていたりする可能性もあるという」 とのことです。

庄原市の位置は以下のグーグル・マップにマークしてあります:

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2010年3月26日金曜日

宇宙の外側の宇宙

「宇宙の果てはどうなっているの」とか「宇宙の外側には何があるの」という疑問は誰しも一度は抱くのではないでしょうか。「数百個の銀河団が時速 360万キロで同方向に流れている」 という 「暗黒流動」(ダークフロー) が観測され、その原因は、銀河団が 「既知の宇宙の外側にある物質の重力によって、強く引き寄せられている」 という報告が学術雑誌 “The Astrophysical Journal Letters” に掲載されました:

記事では:
「ビッグバン直後に、物質の塊が既知の宇宙の外に押し出された」という理論の新たな裏付けとなる。これが正しいとすれば、私たちの住む宇宙は“多世界宇宙(multiverse)”というさらに大きな宇宙の一部ということになる。
と書いていますが、多世界宇宙の概念が出てきて混乱させられました。話が飛躍しているように思います。素人考えですが、多世界宇宙の中の各々の宇宙は独立した時空間を持っているので、時空間を媒介とする重力が一つの宇宙からもう一つの宇宙に作用するということは考えられないのではないでしょうか。

そうではなくて、光速度の有限性に起因する事象の地平(光で観測できる宇宙の限界)の外側にも宇宙は広がっており、そこに存在する質量が事象の地平の内側の銀河団にも重力的影響を及ぼしているということだろうと思います。記事の終わり近くに「既知の地平を越えたところに存在する物質に、銀河団が引き与せられている」と書かれており、上に引用した多世界宇宙云々の部分とは相容れないように思います。多世界宇宙云々の部分は、記事を書いた記者独自の解釈ということなのかも知れません。

多世界宇宙については、以下の資料を参照してください:

チリ地震の揺れ

イギリス BBC 放送のニュースサイトが掲載している動画です:

Vladiva というところにあるホテルの 12階(注)に設置された防犯カメラの映像です。最初のわずかの揺れで逃げだす人もいますが、残った人たちはその後の大きな揺れで、カウンターなどに掴まらないと立っていられない状況におかれたようです。

なお、“Vladiva” という地名がチリのどこにあるのかわかりません。“Valdivia” の誤表記かもしれません。以下のグーグル・マップに後者の位置をマークしました:

(注)  記事にある “12th floor” が現地の表記ではなくイギリス流の表現だとすると 13階になります。イギリス英語では、日本語の 1階、2階、3階 … に相当する表現が、“the ground floor”、“the first floor”、“the second floor” … になります。


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VSS エンタープライズが初飛行

イギリスのヴァージン・ギャラクティック社が開発中だった世界初の商用宇宙船 「VSSエンタープライズ」が初めての飛行試験を行いました:

今回の飛行では母船 VMS イブから分離されることはありませんでした。宇宙船とは言っても、“sub-orbital flight”(準軌道飛行)という弾道飛行+アルファ的な飛行しかできず、スペース・シャトルには速度でも高度でも遠くおよびません。それでも、民間でここまでできるというのは将来への展望を開くことになるので、大きな意義があります。

彦根市(?)上空の UFO

今月上旬に日本で撮影されたとされる UFO の動画です。画面の右下に「彦根市」とあるので、そこが撮影場所と考えられます:

録音されている声が「アー」とか「オー」といった感嘆詞ばかり、背後に聞こえる話し声も日本語ではないようにも聞こえるので、全体として少し不自然な印象を受けます。

今夜、テレビ朝日系列が「トリハダ スクープ 世界衝撃映像 100連発」(何という俗悪なネーミング!)という番組を放映していましたが、その中で紹介された映像によく似たものがありました。それは、メキシコで撮影されたという、多数の子機を放出する UFO 母船の映像ですが、それに比べると、写っている UFO の数ははるかに少ないようです。

ちなみに、この番組に登場したメキシコ人の UFO 専門家は、例の「ハイチの UFO」映像を CG による作り物と断定していました。すでに製作者(35歳のプロのアニメーター)が特定されているので、当然のことですが。

2010年3月25日木曜日

チリ地震による地下水位や地盤の変動

神奈川県温泉地学研究所の資料によると、小田原・南足柄・真鶴・二宮にある観測井戸で、チリ地震の「発生から約1~2時間後に、数cmから数mm程度の振幅で地下水位が上下動」し、「その上下動が収まってから4~5時間後にも、さらに小さい振幅で、再び地下水位が上下動」していたとのことです。さらに、チリから到達した津波の影響で、「真鶴と小田原の観測点では、地震発生後およそ22時間後から、1~2時間程度の周期で地下水が上下に変動」した様子も記録されました。詳しくは以下の資料をご覧ください:

防災科学技術研究所の発表によると、津波の影響は地下水だけでなく地盤にもおよんでいました:

アメリカのバージニア州クリスチャンズバーグ(地図)にある井戸は、世界中の地震に反応することで有名で、USGS(米国地質調査所)も常時モニターしています。チリ地震でも鋭敏に反応し、短時間で 60cm を超える水位低下を記録しています:

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スーフリエールヒルズ山の大噴煙

カリブ海・小アンティル諸島のイギリス領モントセラト島にあるスーフリエールヒルズ火山から立ちのぼる巨大な噴煙の写真が掲載されています:

今年 2月に、カリブ海上空を飛行中の旅客機から乗客が撮影したものです。スーフリエールヒルズ火山は、ハイチで 1月 12日に発生した大地震(M7.0)の震央から東南東に約 1150km 離れたところにあります。

この火山のある小アンティル諸島は、東進するカリブ・プレートの東端に位置しています。諸島の東側からは大西洋の海洋底が西に向かって沈み込んでいます。以下のグーグル・マップに描かれている海底地形でもはっきりわかりますが、小アンティル諸島の東側には、大西洋の沈み込みに伴って形成された巨大な付加体・バルバドスリッジがあります。大西洋の沈み込み帯は、この小アンティル諸島付近と、南米大陸と南極大陸の間の 2か所しかありません。太平洋と比べて大西洋では津波が少ないのはこのためです:

スーフリエールヒルズ山は 17世紀の噴火を最後に長期間沈黙していましたが、1995年に噴火を再開、政庁のある中心都市プリマスを壊滅させました。その後は小休止をはさみながら非常に活発な活動を続けて現在に至っています。

太陽活動が弱まる兆候 ― 寒冷期がやってくる

以下は、3月 23日付『朝日新聞』朝刊の科学面に掲載された記事(注)です。大げさに言えば全人類の命運がかかっている話ですので、是非読まれることをおすすめします:

ネット上の記事では省かれているようですが、紙面の方には、「国立天文台 複数の兆候を観測」、「長い周期 磁場も最低」というサブ・タイトルが付けられており、さらに、過去 1000年間の主な太陽活動の極小期のリストが掲載されています。また、紙面では宇宙線が「炭素(炭素 12)にぶつかって同位体の炭素 14を生む」とあった誤りは、ネット上では「窒素にぶつかって同位体の炭素 14を生む」に訂正されています。

上記リストに載っている極小期は、短いもので 20年、長いものでは 100年を超えています。もし今後、リストに載っているような本格的な極小期に太陽活動が陥るとすれば、過去の極小期でもそうであったように地球は数十年間にわたって寒冷化する可能性があります。

私自身は地球が温暖化しているという考えや、その原因が人類が排出した温暖化ガスであるという IPCC 主導のドグマにはかなり懐疑的です。しかし、仮にそのドグマが正しかったとして、この太陽活動の極小期にともなう寒冷化によって温室効果ガスによる温暖化が相殺され、人類が温室効果ガスの削減努力を怠ったとしたら、太陽活動が極小期から抜け出たときの地球気候のリバウンドは激烈なものになるのかもしれません。

代表的な極小期の解説が以下にあります:

以下には、極大期も含めた「太陽変動現象と発生年代」表や極小期のリストがあります:

(注) ネット上にはアップされていないと思っていたのですが、探し方が悪かったようです。私はグーグル検索で「site:www.asahi.com」というオブションをつけていたのですが、記事は「www.~」ではなく「aspara.asahi.com」というサイトにアップされていたので、検索にヒットしなかっただけでした

2010年3月24日水曜日

ダーウィンとチリ地震

アメリカ科学振興協会(AAAS)の発行する科学誌『サイエンス』のサイトが、チリ地震の発生当日に次のような記事を掲載しています:

今年 2月 27日にチリで発生した M8.8 の大地震は、チャールズ・ダーウィンが『ビーグル号航海記』に書き残した 1835年の大地震(推定 M8.5)と津波の記録から、近々発生すると予測されていたという内容です。以下に記事を一部補足してまとめてみました:
ダーウィンは、ビーグル号による航海の途上でチリの大地震を経験し、地震が地形をどのように変えてしまったかを記録している。この観察記録が、同じ震源域で次の M8 級地震が起きることを地震学者が予想するのに役立った。この震源域は長さ 300km あり、サイズミック・ギャップ(地震空白域)として非常によく知られるようになった。

このサイズミック・ギャップ(ダーウィンのギャップ)の南では、1960年に 1000km にわたって断層が裂けて、観測史上最大級である M9.4 の大地震が発生、北では 1906年にバルパライソ地震が発生した。しかし、この 2つの「破壊」の間に挟まれたダーウィンのギャップは 1835年以降、沈黙したままだった。地震学者たちは、1835年の地震以降にこのダーウィンのギャップに蓄積した歪みを計算して、近い時期に何かが起こるであろうと推測していた。

昨年、フランスやチリの地球物理学者のチームが、『Physics of the Earth and Planetary Interiors』という学術雑誌に GPS 計測の結果に基づく論文を発表し、ダーウィンのギャップで今後数十年以内に M8.0 から M8.5 のプレート境界型地震が発生する可能性があると推定していた。

今後数十年以内に大地震が発生すると予測されているサイズミック・ギャップは他にもある。それらの多くは人口密度の高い地域に隣接している。たとえば、インドネシアのパダン沖、インドのデリー北部、トルコのイスタンブール直近など。

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噴火の連鎖を警戒 ― アイスランド

アイスランドでは、エイヤフィヤトラヨークトル氷河で起きた火山噴火の影響で、同国で最も危険な火山の 1つといわれているカトラ火山が活動を再開する恐れがあるとして警戒しています:

カトラ火山は、1918年の大噴火以来静穏な状態が続いていますが、「これまでにも、エイヤフィヤットの噴火が引き金となってカトラ火山が3度噴火している」とのことです。


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2010年3月23日火曜日

氷上のミステリー・サークル

ノルウェーでの出来事です:

記事を以下に抄訳・意訳します:
ある夜、ノルウェーの Arna という場所で、Johan Hansen という 77歳の老人が、近くにある湖の上に光るものが浮かんでいるのを目撃した。双眼鏡を使って観察したところ、光るものは差し渡し 6フィート(約 1.8m)ほどの大きさであった。

氷を踏み抜いて湖に落ちる危険があったので、老人はその夜は湖に近づかなかった。

翌朝、湖に行った老人が目撃したものは、筋金入りの懐疑主義者であっても説明に窮するような現象だった。氷のはった湖の表面にあったのは、奇妙な対称的な模様だった。

過去何十年もの間、畑にクロップ・サークル(ミステリー・サークル)が発見されてきたが、それらは人間が単純な道具を使ってデザインしたものだった。

長年、クロップ・サークルは論争の種となってきたが、近年ではインターネット上にクロップ・サークルの作り方についての情報があふれている。

しかし、今回のように氷の上にできたサークルについてはどうだろうか。誰かが使い古された手法に新風を吹き込んだのか、それとも何か奇妙で説明できないことがノルウェーで起きたのだろうか。

記事には「最近」とあるだけで、出来事の日付は書かれていません。

現象のおきた場所を以下のグーグル・マップにマークしました:

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氷河の下の火山が噴火 ― アイスランド

3月 10日付「氷河の下の火山に噴火の兆候 ― アイスランド」の続報です。現地時間の 3月 20日(土曜日)深夜に噴火が始まりました。1986年に日本の伊豆大島で発生し全島民島外避難に至った山腹の割れ目噴火に似ていますが、それに比べると規模は小さいようです。

降灰とともに、噴火の熱で氷河(氷冠?)が溶け泥流が発生する可能性もあるため、数百人が避難しています。付近を流れる川の水温が突然数度上昇したとの報道があります。

21日(日曜日)には、噴煙によってジェットエンジンに不具合が発生する恐れから、終日航空機の飛行が禁止されましたが、徐々に平常に戻っています。噴煙は 8000m 上空まで達したとの情報があります。

噴火が起きている割れ目は、北東方向に向かって徐々に伸びているようです。当初は長さ 0.5km とされていましたが、報道によっては 0.8km、2km としているものがあります。

以下はアイスランド気象局(Icelandic Met Office)が 3月 21日付で発表した “Eruption on Fimmvörðuháls”という資料の「適当」訳です:
Eyjafjallajökull での地震活動は過去 3週間にわたって活発化しており、震源の深さは 7km から 10km であった。

3月 19日に山頂火口の東で地震が群発し始め、その深さは 4km から 7km であった。3月 20日(土曜日)、地震活動は東方向に移動しながら地表に近づいた。

同日 22時 30分(グリニッジ標準時)、地震活動がわずかながら増加したことが、山頂火口から 20km 以内に設置された 3つの観測ステーションによって検知された。それから 2時間ほどの間に噴火の報告が届き始めた。

噴火は 20日(土曜日)の 22時 30分から 23時 30分の間に始まった。噴火をおこしている裂け目は長さ 0.5km ほどで、Eyjafjallajökull アイスキャップ(氷冠、山頂部を覆う万年雪)の東にある Fimmvörðuháls の北側にある。

21日(日曜日)朝 7時から 8時ごろまで地震は増加し続けたが、それが最初のピークとなり、10時ごろには減少した。その後 1時間で新たなピークに達したが、それ以降は火山性地震は増加と減少を繰り返している。

大規模な降灰は観測されていない。噴煙の規模は小さく、これまでのところアイスランド気象局の気象レーダーに写っていない。

AP通信が配信した噴火の動画です:

昼間に撮影された噴煙の写真があります。夜間の映像ではよくわからなかった噴煙の様子です:

噴火を伝えるワシントンポスト紙の記事です。スライド・ショーがあります:

前回の記事でなんと読むのかわからないと書いた地名 “Eyjafjallajökull” あるいは “Eyjafjallajoekull” についてですが、読売新聞は「エイヤフィヤトラヨークトル」、CNN の日本語版は短く「エイヤフィヤトラ」と書き、ワシントンポスト紙は 「AYA-feeyapla-yurkul」と発音を表記しています。読売新聞などの読み方を信ずるならば、アイスランド語の “ll”は “tl” に近い音を表していることになります。


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2010年3月22日月曜日

水温と成分が変化 ― 岐阜県安八温泉

岐阜新聞所載の 3月 19日付記事です。岐阜県安八郡安八町中須にある安八温泉の水温が低下、成分も薄まり、温泉の基準を満たさなくなっているとのことです。ただし、27年ぶりに検査したところ判明したということで、どの時点で変化したのか、あるいは長い年月にわたって少しずつ変化したのかなどは不明です:

安八温泉の位置を以下のグーグル・マップにマークしました:

最近報じられた類似の現象としては次のようなものがあります:

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先住民族の家屋とチリ地震

3月 17日付の朝日新聞(朝刊)に 「地震しのいだ先住民族の知恵 伝統家屋、くい打ちはり組むだけ」 というタイトルの記事が掲載されています(現時点でネット上には掲載されていないようです)。このブログの 3月 14日付記事 「チリはなぜ細長いのか」 で触れたチリの先住民族・マプーチェ(マプチェ)族を取材したものです。以下に一部を引用します:
「マプチェの家は倒れなかった。でも、近くにある(西洋式の)教会は倒れたよ」と郊外の村に住むドミンガ・ニクルマン・マリキオさん(74)は話した。

ドミンガさんは、マプチェ族の伝統を生かした、地面にくいを打ち込んではりを組んだだけの木造家屋に暮らす。村には約 100人が住むが、地震で倒壊したのは、れんがやセメントを使った家ばかりだったと言う。

伝統のわらぶきの家は、地震の揺れをよく吸収した。床をセメントなどで固めないことも重要という。

記事は 「マプチェ族は、気温や雲の色の変化などから、地震などの予兆を読み取ることができた、との言い伝えもあるという」と述べた後、マプチェ語の専門家で伝統文化に詳しい元大学教授の 「マプチェ族は、地震を暮らしの一部として受け止め、それと調和するように暮らしてきたのです」 という言葉で締めくくっています。

ところで、今回のチリの大地震(M8.8)では何か宏観前兆はあったのでしょうか。マプチェ族の人たちに尋ねてほしかったと思います。私は、これまで、各国の相当な数のチリ地震に関するニュース記事に目を通してきたのですが、いまのところこれといった宏観前兆の報道には出くわしていません。地震に宏観前兆というものが実在するのであれば、あれだけの規模の大地震でしたから、必ず何らかの前兆があったはずなのですが ……。


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秋田駒ヶ岳の噴火を想定した行動計画を作成

国土交通省を中心とした委員会が、秋田駒ヶ岳の噴火を想定した行動計画案を 3月 18日に提示したとのことです(このブログ記事を書いている時点で、以下の秋田放送の記事はすでに削除されています。放送局のニュース記事は掲載期間が短いので困ります):

記事には、仙台管区気象台の説明として、「(秋田駒ヶ岳は) ただちに噴火する状態ではないが右肩上がりに活動が進んでいて現在も警戒を続けている」と書かれています。


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2010年3月21日日曜日

イルカ迷い込む ― 徳山湾

3月 17日、山口県周南市晴海町の徳山湾に 1頭のイルカが迷い込んでいるのが見つかりました:

記事によれば、体長 2m ほどのマイルカで、「湾の奥まで入ってくることはめったにない」とのことです。

瀬戸内海では 3月 4日の朝に、この徳山湾から東に約 135km 離れた尾道水道で、2頭のイルカが迷い込んでいるのが見つかっています(3月 6日付「イルカ 2頭迷い込む ― 尾道水道」を参照してください)。

以下のグーグル・マップに周南市晴海町の位置をマークしました:

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記録的多数の UFO 目撃 ― チリ地震

いまひとつ信頼のおけないニュースサイトに掲載されている記事ですが、いちおう紹介します:

以下は記事から抜粋した内容です:
チリで M8.8 の大地震が発生した夜、少なくとも 16件の UFO 目撃が報告されていた。

大地震の後、屋内で眠ることができず路上にいたカップルは、空に月のような物体があるのを見たが、月は別の方向に見えていることにすぐに気づいた。この現象は他の地域の住民によっても目撃されている。

最も劇的な目撃は、以前から UFO のホットスポットとして有名になっていたイキケ(Iquique)市の近傍で発生した。同市のそばの海岸沿いを移動中だったバスの乗客全員が、発光する円柱状の UFO が海から現れるのを目撃した。その後、身長 3m の光り輝くヒューマノイドがハイウェイの上に立っているのが目撃され、乗客たちは恐怖に襲われた。(この事件が起きたのが、大地震の前だったのか後だったのか、記事からはわかりません。)

イキケ市は、大地震の震央から北北東に約 1750km 離れたところにあります。以下のグーグル・マップにイキケ市の位置をマークしましたのでご確認ください。イキケ市は、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車などの蓄電池に使われるリチウム資源の宝庫として注目されているウユニ塩原(NHKYouTube)の西にあります:

なお、記事とともに掲載されている画像は記事内容とは関係ありません。このニュースサイトが UFO 関連の記事を載せるときにいつも使う画像です。

ジオ・ニュートリノの検出に成功

イタリア・ラクイラ近郊にあるグラン・サッソ山の地下 1.5km に埋設されたニュートリノ観測装置で、地球内部で発生したニュートリノ(ジオ・ニュートリノ)の検出に成功したとの発表がありました:
  1. Borexino experiment detects geo-neutrinos (写真、動画あり)
  2. Geo-neutrino anti-matter found by scientists at Borexino detector
ニュートリノはこの宇宙を構成する基本粒子の一つです。他の素粒子とほとんど反応しないため、どんな物質でもほとんど影響を受けることなく通り抜けていきます。太陽で発生したニュートリノは、1平方cm当り 1秒に 660億個が地球を通り抜けていきます。私たちの身体も 1秒に10兆個以上のニュートリノが通り抜けていますが、身体を構成する物質とほとんど反応しないため、私たちは痛みや痒みなどを全く感じません。このように他の物質とほとんど反応しない粒子を観測するには、ニュートリノがごくまれに他の素粒子と反応したときに発生する微弱な光などを捉えるために、膨大な量の物質と長い観測時間が必要です。

これまで観測されていたニュートリノは、太陽ニュートリノ、大気ニュートリノ(宇宙線が大気中の原子核と衝突してできるパイ中間子やミュー粒子の崩壊から生じるニュートリノ)、超新星爆発に伴うニュートリノなど、地球外に起因するか、粒子加速器で人工的に作り出したものだけでした。

ニュートリノは透過性がきわめて強いため、観測できさえすれば、地球という不透明な天体の内部で起きている現象について貴重な情報を提供してくれることになります。

地球内部から飛び出してくるジオ・ニュートリノについて、上記1の記事から引用・意訳します:
検出されたジオ・ニュートリノは反電子ニュートリノであって、地球内部でトリウムやウラニウムなどの原子核が崩壊するときに発生する。ジオ・ニュートリノの流量を測定することによって、地球内部で放射性物質の崩壊によってどのくらいの熱が発生しているのかがわかり、テクトニック・プレートの運動や火山活動に影響を与えるマントル対流に起因する過程をよりよく理解することが可能になる。

報道記事によっては今回の検出が世界初との記述も見られますが、上記1の記事には次のような記述があります:
ジオ・ニュートリノは、日本の研究者が 2005年に KamLAND 実験として知られるプロジェクトの中で始めて検出した。彼らが使った検出装置は地下 1km の採掘坑に設置されていたが、原子炉で発生する反ニュートリノを研究することが目的であったため、検出装置の周辺には複数の原子炉が存在していた。そのため、彼らは原子炉からの強い反ニュートリノ放射の中からジオ・ニュートリノの信号を分離しなければならなかった。

なお、ニュートリノ(中性微子)ニュートロン(中性子)は名前が似ているため、以下のように混同している向きもありますが、両者はまったく別物です:
1国の防衛網をこれ1つで壊滅させることが可能ですので、HAARPはこれらの研究の1つ・と思っておいて良いでしょう。電離層を持ち上げる事から気象に変化が出て、気象兵器と言われているだけで有り、元は米軍の実験兵器の1つなわけです。ストレートに言うと、電磁バリアとなりうる本土防衛兵器ですからね。ニュートロン=ニュートリノの事ですが、神岡の新カミオカンデが有る様に宇宙線の1つですから、これを軍事兵器にする・という考え方は米国の軍の物理学でもロシアでも同様でしょう。

「今日の報告です」(2010年2月22日(月)09時13分37秒)より引用]

今回のジオ・ニュートリノ検出がおこなわれた研究施設は、イタリアの都市・ラクイラの近郊にあります。昨年 4月に発生したラクイラ地震で大きな被害が出た街ですが、近郊に集中している研究施設には大きな被害はなかったようです。


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2010年3月16日火曜日

フォボス最接近 (続報)

3月 3日付記事「フォボス最接近」の続報です。ESA(欧州宇宙機関)が火星の衛星フォボスの高解像度画像を公開しました。火星探査機マーズ・エクスプレスがフォボスに接近したときに撮影したものです:

各画像は、右下にある “HI-RES JPEG (Size: ××× kb)” の「×××」の部分をクリックすると拡大します。

私が期待していたほどには解像度が高くありません。それに粒子も荒れていてシャープさに欠けているように感じます。それでも解像度は1画素あたり 4.4m ですが。

写真に付けられている説明では、撮影日は 3月 7日となっています。フォボスに 50km まで接近した 3月 3日ではなく、107km まで接近した 3月 7日に撮影されたということです。調べてみると、3月 3日の最接近時には、MaRS(注1)と ASPERA(注2)という観測装置が使われ、高解像度の映像を捉えるための HRSC(注3)は使われなかったようです。残念。

それにしても、フォボスの表面に無数にある、なんらかの球体が転がったかのように見える「溝」の成因が気になります。これらの「溝」は、隕石が衝突してフォボス最大のクレーターができたときの衝撃によって形成されたとの説明があるのですが、納得できません。



  1. Radio Science Experiment - sounding of the internal structure, atmosphere and environment
  2. Energetic Neutron Atoms Analyser - how the solar wind erodes the Martian atmosphere
  3. High Resolution Stereo Camera - high-resolution surface imaging

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厚木基地騒音と「地鳴り」

3月 1日から の数日間、厚木基地を離発着する航空機の騒音が尋常ではありませんでした。下記『朝日新聞』の記事によると、周辺住民の苦情が 3月 1日から急増しています:

私の経験則なのですが、厚木基地の騒音がひどいと、地震前兆関係の掲示板やブログで、神奈川県内・東京都南部・相模湾一帯などに住んでいるとおぼしき人たちからの「地鳴り」報告が増えます。今回も、どんぴしゃり、3月 1日から「地鳴り」報告が現れました。以下は、『異常現象に気付いたらお知らせください。』という掲示板からの抜粋です:
No.109638 地鳴り 投稿者:川崎@川崎 投稿日:2010/03/01(Mon) 13:12
午前中、度々地鳴りが聞こえてきます。日が出ているのに霞みがかっていて、気持ち悪い天気です。昨日の夜は夜で、白く発光しているのを確認しました。ちょっと不安な感じです。

No.109639 やはり地鳴り? 投稿者:zero湘南@町田 投稿日:2010/03/01(Mon) 13:19
私も朝から気になっていました。南側がやや持ち上がるような感じがあり、圧迫感があります。

No.109641 地鳴りだか分かんないけど 投稿者:東京@稲城市 投稿日:2010/03/01(Mon) 16:10
さっきから空?がゴーッと重低音で鳴ってます。こちらは曇りで昼間も12℃程度で予報と異なって寒い感じでもあります。

一連の「地鳴り」報告は、以下に引用する「横浜住人」という人からの投稿で歯止めがかかりました。航空機騒音が原因ではないか、とやんわり指摘してくれています。この投稿がなされた掲示板では、地震前兆以外の可能性を単刀直入に指摘すると削除の憂き目を見ることが多いので、指摘する側も気を使う必要があるのでしょう。指摘した後に、「そのせいかわかりませんが、気になりますね」というフォローアップの文言を添えるのは、この種の掲示板では必須のお作法かもしれません(苦笑):
No.109642 地鳴り 投稿者:横浜住人 投稿日:2010/03/01(Mon) 17:24
本日は厚木基地を離発着する戦闘機の数が通常よりも多いです。そのせいかわかりませんが、気になりますね。

上記『朝日新聞』の記事には、米軍機の飛行時間や飛行ルートが書かれています:
離陸の時間帯は午前7時40分ごろから午後8時半ごろまでで、最終の着陸は午後10時過ぎになる。

戦闘機は小田急江ノ島線に沿って上昇、(相模原)市内上空を旋回し、群馬県渋川市周辺や伊豆大島、三宅島東方海上の訓練空域で訓練を行っているという。

飛行ルート直下や周辺の地域では、地鳴りと考える前に航空機の騒音をまず疑ってみるべきでしょう。それらの地域から遠く離れていても、風向きや気温の垂直分布などの気象条件によっては騒音が伝わってくることがあります。航空機の出す音は、遠距離を伝播して反射や回折を繰り返すうちに、元の音とは似ても似つかない轟音に変化することもある点を考慮する必要もあります。

上に引用した「地鳴り」報告の中に川崎からのものがありますが、川崎市の場合は羽田空港の騒音も気象条件によっては聞こえてくる可能性があります。

米軍機の陰に隠れてあまり苦情の対象になっていませんが、自衛隊の対潜哨戒機も市街地上空を低空で飛ぶので、窓ガラスがビリつくほどの騒音と恐怖感をまき散らしています。

2010年3月15日月曜日

ロシアの「空飛ぶ円盤」

ロシアのロコモ・スカイ社が開発している「空飛ぶ円盤」です:

すでに就役している機体は地表の調査に使われており、1トンの荷物と 2~8人の搭乗員を乗せることが可能。ロコモ・スカイ社は 600トンの貨物か 11,000人の乗客を乗せる機体を計画していて、メドベージェフ大統領も関心を示しているとのことです。

インド洋中央部で地震

インド洋中央部で M6.0 と M5.3 の地震が相次いで発生しました。2つの地震の震源は 1800km ほど離れていますが、発生時刻は日本時間で 3月 15日午前 5時 33分と同 6時 17分で近接しています。インド洋中央部でこの規模の地震が短い時間間隔で連続するのは、比較的珍しいことだと思います。

M6.0 の地震の震源(地図グーグル・マップ)は、スリランカの南南東 1155km で深さは 10km(非常に浅い)、スリランカ南方に広がる中央インド洋海盆とさらにその南にある中部インド洋海盆の境界付近です。海底地形図を見ると海嶺や海溝などのプレート境界がなく、何の変哲もない場所ですが、この付近一帯は、昨年 4月 22日付の「新しいプレート誕生」で紹介したように、2004年のスマトラ沖大地震の影響で新しいプレートやプレート境界ができつつあるのではないかと一部の研究者が考えている海域です:

M5.3 の地震の震源(地図グーグル・マップ)は、スリランカの南西 2025km、ディエゴ・ガルシア島などを含むチャゴス諸島の西 490km で、深さはやはり 10km(非常に浅い)、アラビア半島の方から南東に延びるカールスバーグ海嶺とインド洋中央部を北上する中央インド洋海嶺の接続部分付近です。震源の位置は海嶺軸と一致しています。


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2010年3月14日日曜日

チリはなぜ細長いのか

2月 27日に大地震に襲われ、3月 11日には民主化後始めて中道右派の新大統領が就任。何かと注目を集めるチリですが、その国土は全長約 4500km、幅は平均 175km。なぜこのように細長いのでしょうか。それを解説した記事があります:

以下に記事の内容をまとめてみます:
チリ国土の細さは地理的制約、長さは軍事的征服に由来します。地理的制約については言うまでもないと思いますが、東のアンデス山脈、西の太平洋によって東西方向に発展する余地がなかったということです。

一方、長さについては、チリの歴史を学ぶ必要があります。チリの歴史は、16世紀にペルーの植民地から金を求めてやって来たコンキスタドール(スペイン人征服者)の分遣隊が、現在の首都サンティアゴ付近に定着したことから始まりました。1818年にスペインから独立したときの国土は、サンティアゴを中心として、現在の国土の中央部 3分の1 ほどでした。北部 3分の1 と、南部 3分の1 は軍事的征服によって獲得したものです。

1880年代、チリは北部の豊富な硝酸塩資源を獲得するためにペルーやボリビアと戦端を開きます。この戦争を War of the Pacific (紛らわしいですが、訳すと「太平洋戦争」)といいます。この戦争に勝利したチリは、ペルーの南部と、ボリビアの太平洋沿岸の領土を獲得しました。この結果、ボリビアは太平洋への出口を失い、完全な内陸国家になってしまいました。こうして、チリの北部 3分の1 がチリの領土に加わりました。

南部 3分の1 は、北部とほぼ同じ時期に、マプーチェ(Mapuche)人という先住民族を軍事的に制圧することによって獲得しました。マプーチェ人は、インカ帝国やスペイン帝国の支配下に入ることに抵抗し、独立を守り続けた歴史をもっていたのですが、1880年代の末についにチリ陸軍に屈服させられました。

このような経緯で、チリは 1880年代の末には現在のような細長い国土となりました。

領土的野心の遺伝子が引き継がれているのか、チリは南極大陸に1,250,000 km²の領有権を主張しています。

チリに太平洋沿岸の領土を奪われ完全な内陸国になったボリビアですが、いまでも海軍を保有しています。しかし、実体は「湖軍」あるいは「川軍」のようです:

2010年3月12日金曜日

サケガシラ大漁 ― 福井県南越前町

しばらく深海魚の漂着や捕獲のニュースが途絶えていましたが、『福井新聞』の 3月 12日付記事によると、 「福井県南越前町河野地区でここ2カ月半ほど、水深数百メートルにいるはずの深海魚サケガシラが、沿岸の定置網に大量に掛かる現象が続いている」 とのことです:

サケガシラ、テンガイハタ、リュウグウノツカイの区別については以下を参照してください:

以下の地図(グーグル・マップ)でもわかるように、現場は敦賀湾の入り口付近です:

敦賀湾では、このブログの 2月 26日付記事「カマイルカ迷い込む ― 福井県敦賀市」で紹介したように、2月 21日にカマイルカ 1頭が迷い込んでいるのが見つかっています。また、同じく 26日付の記事「湖底堆積物吹き上げ ― 琵琶湖」で取り上げた湖底堆積物の吹き上げ現象は、琵琶湖西岸断層帯の活動が活発化している兆候ではないかとも言われていますが、敦賀湾はこの断層帯の延長線上にあります。

以下の「過去の関連記事」にあるように、今冬、このブログで取り上げたリュウグウノツカイなどの漂着・捕獲が起きているのは、主として敦賀湾が属する若狭湾から能登半島にかけての地域です。


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2010年3月10日水曜日

氷河の下の火山に噴火の兆候 ― アイスランド

アイスランド南部の氷河に覆われた火山周辺で地震が頻発するようになり、噴火の可能性があるとして火山学者の注目を集めています。防災当局は噴火した場合に備えて、災害対応計画の策定を始めています:

火山と氷河の名前は Eyjafjallajökull (なんと読むのでしょうか)。場所は以下のグーグル・マップにマークしましたので参照してください:

この火山が最後に噴火したのは、1821年から 1823にかけて(日本では文政年間で 11代将軍徳川家斉の治世)で、その前には 1612年に噴火した記録が残っているそうです。また、1994年と 1999年には今回と同じように地震が頻発しましたが、この時は噴火には至らなかったとのことです。

アイスランドは、大西洋中央海嶺の真上に形成された島です。中央海嶺がそのまま海上に出ているといってもよいでしょう。そのため、海洋プレートの生成が地上で見られる希有な場所となっており、形成された海洋プレートが北米大陸方向とヨーロッパ方向に分かれていくため、多くの正断層系が発達しています。

2010年3月7日日曜日

奄美諸島 → 奄美群島

少し古いですが、2月 19日に国土地理院が発表した資料です:

私は「奄美諸島」と言い習わしてきましたし、気象情報でも「―諸島」と言っていたように思います。また、手元の地図も「―諸島」と表記しています。しかし、今後、国土地理院が発行する地図では「奄美群島」が決定地名として用いられることになりました。法令上や鹿児島県では、以前から「―群島」が使われてきたのだそうです。そう言われれば、国定公園の名前は「奄美群島国定公園」でした。

「諸島」と「群島」で意味に違いがあるのでしょうか。手持ちの『広辞苑』(岩波書店)では次のようになっています:
しょ‐とう【諸島】 二つ以上の島の集団。「伊豆―」

ぐん‐とう【群島】 群集している島々。「南洋―」

今一つはっきりしませんが、「諸島」の方は島の数が少なくまばらな感じ、「群島」の方は島の数が多く狭い範囲に集まっている感じがあります。島を木にたとえると、「林」と「森」の違いに似ているように思います。伊豆諸島を「伊豆群島」とは言いにくいことが、「諸島」と「群島」の違いを表しているのではないでしょうか。

ところで、辞書には「群島」の関連用語として「群島理論」という言葉が載っています。『広辞苑』では以下のように説明しています:
ぐんとう‐りろん【群島理論】 フィリピンやインドネシアなどの群島国家が主唱する国際法上の理論。群島全体をまとまった一単位として扱い、群島の外端を結ぶ線を群島基線とし、その外側に領海や経済水域を設け、内側の水域を群島国の主権のもとに置こうとするもの。

これを見て、今の時期に「―群島」にそろえたというのは、ひょっとして中国との海底資源争奪戦を意識したからなのかも知れないと一瞬考えましたが、考えすぎでした。

肉食巨大飛行イカの侵略

まるで B級 SF 映画のタイトルのようですが:
体長が最大 2.5m に達し、ダイバーを襲うこともあるといわれる巨大イカの群が、1月末ごろからカリフォルニア沖に現れました。別名フンボルト・イカ、あるいはレッド・デビル。ふだんは暖かいメキシコ沿岸を回遊しているのですが、大挙して北上しているとのことです。エル・ニーニョが原因と推定されています。

その他、アメリカで報道された動物の「異常」についていくつか紹介します。

2月初め、ロサンゼルス近郊のマリブ海岸の桟橋近くにコククジラの子どもが現れています:

3月初め、テキサス州・ヒューストンの地下駐車場に、野生と見られるボブキャットが迷い込み、麻酔銃で捕獲されています:

「チ」の字

とりとめのない話ですが、今朝、ふとんの中でうつらうつらしながら気づいたこと。2004年スマトラ沖大地震(インドネシア・アチェ特別州) → 中国・四川省・成都(チャイナ・スーチョワン・チョントゥー) → ハイチ → チリ。大きな人的被害が出た地震被災地の日本語表記には、みな「チ」の字が入っています。

で、日本の都道府県ではどうかというと、チバ、トチギ、アイチ、ヤマグチ、コウチ。大地震で被害が出てもおかしくない県が多いような ・・・。

温泉の水位低下 ― 静岡県島田市

静岡県島田市伊太の温泉で、源泉の水位が大幅に下がっています:
1月 9日に地下 231m であった水位が下降を続け、3月 5日には地下 604m まで下がったとのことです。2か月足らずの間に 373m の低下。これは東京タワーの高さを上まわる落差です。

静岡県島田市伊太は、御前崎の北約 30km に位置しています。以下のグーグル・マップにマークしましたので参照してください;

2010年3月6日土曜日

豊後水道周辺でスロースリップ (補足)

前の記事「豊後水道周辺でスロースリップ」に関連して、以前読んだ 『スロー地震とは何か』(川崎一朗、NHKブックス、2006、以下[1])を読み返してみました。

「スロースリップ」という言葉に類似した用語として、スロー地震、サイレント地震、ゆっくり地震などがあります。これについて[1]には、「最近は、国際的な研究者コミュニティでは、スロー地震もサイレント地震も含めて slow slip event と総称するようになった」と書かれています。

スロースリップを理解するには、プレート境界の岩盤間にはたらく摩擦の物理法則を理解する必要があります。キーワードは、「速度弱化」と「速度強化」、「不安定滑り」と「安定滑り」です。速度弱化とは岩盤どうしのこすれ合う速度が速くなるほど摩擦が減少すること、速度強化は速度が速くなるほど摩擦が増大することです。

速度弱化不安定滑りについて[1]は次のように説明しています:
速度弱化の断層面では、ひとたび滑りがはじまると、滑り速度が大きくなるほど摩擦が小さくなるので滑りはどんどん加速し、断層滑り面は爆発的に拡大する。これが地震である。 (略) 速度弱化の断層面では地震になったり固着したり、ギクシャクを繰り返す。そのような現象を「不安定滑り」という。プレート境界面の不安定滑り領域は地震と地震の間は固着しているので、その点を強調して「固着域」と表現することも多い。

速度強化安定滑りについては[1]に以下のような説明があります:
断層滑り速度が大きくなるほど摩擦も大きくなるので、滑りは減速させられる。滑り速度が小さくなると逆に摩擦は小さくなるので滑りは加速しようとする。その結果、接触面は減速と加速がバランスした速度でゆっくり定常的に滑ることになる。これが「安定滑り」である。

プレート境界では、深さによって安定滑りの領域と不安定滑りの領域(=固着域 =地震発生帯)が分かれています。安定滑り域と不安定滑り域の中間で、摩擦の性質が移り変わる領域を「遷移帯」といいます。

スロースリップから大地震に至る過程について、[1]には次のような仮説が提示されています:
  1. 大地震から次の大地震へ至る地震サイクルの後半で、スロー地震は遷移帯で繰り返すようになる。
  2. 上盤の歪みが限界に近づくと、スロー地震は遷移帯に沿って横方向に拡大し、だんだん大型になる。
  3. そのうち、スロー地震の一発が遷移帯に沿って横方向に拡大して中速のスロー地震になったのち、最終段階で地震発生帯に弾け出て、加速度的に拡大して大地震になる。

スロースリップが起きている豊後水道とその周辺は、現在は上記のどの段階にあるのでしょうか。

国土地理院の発表文の末尾に「推定されたプレート間滑りの大きい領域が、過去の例と比較してやや東側に寄っていることも特徴です」 と書かれている点について、私は昨日の記事で「いささか気がかりです」と書きました。その理由は、スロースリップの領域が、高知県沖にある 1946年南海地震のアスペリティ(≈ 固着域)に近づいているように見えるからです。

イルカ 2頭迷い込む ― 尾道水道

3月 4日朝、広島県尾道市の市街部と向島の間にある尾道水道(広島県尾道市の市街部と向島の間の水道; 尾道海峡ともいう)で、イルカ 2頭が泳いでいるのが見つかりました:

イルカの種類は、記事によって異なっており、「背びれの形や濃い灰色の胴体などからバンドウイルカとみられる」、「背びれの形からマイルカやハナゴンドウと推測」などと書かれています。また、「太平洋などの生息域から餌を追って迷い込んだ可能性が高い」、「船が行き交う尾道水道で生息している可能性は低く、迷い込んだとみられる」と推定しています。

尾道水道の位置は以下のグーグル・マップで確認してください:

過去の関連記事

豊後水道周辺でスロースリップ

国土地理院が 3月 5日付で発表した資料です:

発生は昨年後半からで、場所は豊後水道から足摺岬にかけてのプレート境界。これまでのスリップで M6.3 相当のエネルギーが開放されたが、過去 2回のスリップでは M7.0 に相当するエネルギーが開放されているので、今回のスリップはしばらく継続する見込み、とのことです。

発表文の最後に 「推定されたプレート間滑りの大きい領域が、過去の例と比較してやや東側に寄っていることも特徴です」 とさりげなく書かれていますが、いささか気がかりです。


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2010年3月5日金曜日

3火山が活発化 ― コスタリカ

中米・コスタリカで 3つの火山が活発化しています。

Arenal 山
Arenal山はコスタリカ北部にある標高 1670m の成層火山です。以前から活発な活動を続けていますが、3月 2日と 3日、火砕流や溶岩流出を伴う噴火をおこしました。周辺で森林火災も発生しています。

イラス(Irazú)山
イラス山はコスタリカ中央部、首都サンホセの直近にある標高 3432m の成層火山です(首都から約 25km)。3月 1日から 2日にかけての夜間、この火山周辺で群発地震が発生、午後 7時からの 30分間に 9回の有感地震があり、住民にパニックが広がりました。OVSICORI(コスタリカ火山学・地震学観測所)によれば、いずれも M3 未満で、震源はイラス山北東部とのこと。

イラス山については、スペインによる征服以降、23回の噴火が記録されています。最後の噴火は 1965年でした。

Poás 山
Arenal 山とイラス山の中間にある Poás山が、2月 23日に水蒸気爆発をおこしています。

3つの火山の位置は以下の地図で確認できます:

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2010年3月4日木曜日

火山の警戒レベル上昇 ― チリ

3月 2日、チリの ビジャリカ(Villarrica)火山が炎と噴煙を上げ始め、警戒レベルがグリーンからアンバー(黄色)に引き上げられました:

同火山は、チリの首都サンティアゴの南 680km、27日の大地震の震源から南に 400km のところにある標高 2847m の成層火山です。以下の地図を参照してください:

上記記事には地元住民の言葉が伝えられています:
Locals say it’s quite normal after an earthquake to see flames and smoke emerge from the mouth of the volcano; it means that the volcano is venting and relieving pressure. They go on to say you have to worry when the smoke and flames stop, because this means that the volcano is readying itself to erupt.

地震の後、あの火山の火口から炎や煙が上がるのはごく普通のことだよ。火山が中にたまった圧力を抜いてるんだから。煙と炎が止まったら心配しなくちゃいけない。だって、火山が噴火準備完了になったってことだから。

記事によれば、ビジャリカ山は世界で 6番目に活発な火山で、最後に噴火したのは 1999年のことだそうです。


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2010年3月3日水曜日

四川→ハイチ→チリ  大地震の発生日

よくこんなことに気づいたと感心してしまいます:

中国・江蘇省地震局の副局長は、「確かに面白い話ではあるが、3つの日付は何かを表していることはなく、ここから災害の予測が立ったとしても非科学的なものだ」と一蹴、「地球上では毎年十数回マグニチュード7以上の地震が発生しているが、その多くは海だったり人が少ない地域で発生しているために騒がれないだけだ」と説明していますが、全くそのとおりだと思います。人は偶然の中に何らかの意味を見いだしたがるものです。

空の色が変わった ― チリ地震

チリ人の女性ジャーナリストが CNN のインタビューに答えた内容が記事になっています:

地震の大きな揺れで目を覚まし、ベッドから窓越しに外を見ると、空の色が超現実的に変化していたという証言です。どのような色だったのか、どのように変化したのかなど、具体的なことは述べられていません。実際に起きたことなのか、地震の恐怖がもたらした心理的あるいは生理的な反応で視覚が影響を受けたのか。類似の証言は今のところ見あたりません。

チリの惨状

チリ地震の被災地を撮影した写真集を紹介します。まず初めは、『ボストン・グローブ』紙の “The Big Picture” から:

同じく “The Big Picture” から:
#5 仮設の水槽から飲料水をボトルにつめる人たち。水の中に手が入っています。多数の人がこれをやったら、水が汚染されるのでは?

#9 携帯電話の充電屋。ハイチでも見かけました。

最後は、CNN のサイトから:
全部で 3ページあります。ページの切り替えは右上にある「<」と「>」のボタンで。

私が気になったのは「1ページ目の上から 6番目」の写真です。と言っても、写真が追加されることがあるので、ページやページ内の順番が変わるかも知れません。写真への直接のリンクは ここ をクリックしてください。写真に付けられたキャプションは “A local resident walks past debris from the earthquake in Talcahuano on Monday.” となっています。

写っているのは津波の被災地を歩く男性。ダブルのスーツにネクタイ。チェスト・ポケットには白のチーフ。帽子をかぶり、こうもり傘をもっています。オリンピックに出場する国母某というスノーボードの選手が、不快な髪型やスタイルで 80% の国民の顰蹙を買ったのとは真逆の印象です。

被災地でどんな格好をしようが本人の自由ですが、いろいろ想像してしまいます。謹厳実直な初老の元教師という印象を私は持ちました。ふだんから外出するときにはこの服装なのでしょうか。地震が起きたのは現地時間の午前 3時半すぎです。寝ているところを地震や津波に襲われて、パジャマ以外にはこのスーツ一式しか持ち出せなかったのでしょうか。それとも、地震か津波で犠牲になった知人の葬儀に参列するために、手元に残った最善の服を選んだということなのでしょうか。

過去の関連記事

フォボス最接近

ESA(欧州宇宙機関)の火星探査機マーズ・エクスプレスが、協定世界時 3月 3日 20:55:40(日本時間 4日午前 5時 55分)に、火星の衛星フォボス(写真)の地表から 50km の高度まで近づきます。以下のページの表にあるように、過去および将来予定されているフォボスへの接近の中では最短の距離です:

今回の接近によって得られる情報は、2012年に予定されているロシアの “Phobos-Grunt”(フォボスの土)探査機(完成予想図)の着陸地点選定にも使われることになっています。このロシアの探査機は、フォボスに着陸して土壌を採取し、地球に持ち帰ることになっています。

このブログの 2月 2日付記事「フォボスとデイモス」にも書きましたが、フォボスはいろいろと謎の多い天体です。過去には、フォボスが中空の人工天体ではないかという「フォボス空洞説」があり、最近ではアポロ 11号で月面に到達したバズ・オルドリン飛行士が「人類は火星の衛星を目指すべきだ、なぜなら火星の衛星フォボスにはモノリスがあるからだ」という趣旨の発言をしています。

私は、今回の接近によって、フォボスの表面をほぼ平行に走る無数の「溝」の正体を解明するヒントが得られれば、と思っています。


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2010年3月1日月曜日

チリ地震と火山活動

現地時間 2月 27日午前 3時 34分(日本時間 同日午後 3時 34分)にチリの太平洋岸で発生した M8.8 の大地震には、何か前兆のようなものがあったのか、ニュースを過去に遡ってざっと調べてみました。これといった宏観異常の報道は見つかりませんでしたが、地震の 2週間ほど前にチリ国内の 2つの火山が相次いで活発化していました:

Llaima 山では、中央火口から水蒸気やガスが噴出するのが監視カメラによって捉えられていました。Chaiten 山については、1月下旬までの数ヶ月間、火山活動の低下傾向が続いていたのですが、1月末~2月初めごろ活発化の兆候が現れ、2月 15日には警戒レベルが最高度(レッド)に引き上げられました。

Llaima 山は震央から南南東に 328km、Chaiten 山は震央から南に 776km のところにあります。

なお、上記の記事のうち、チリの『サンティアゴ・タイムズ』については、この原稿を書いている時点でアクセスできない状態が続いています。


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