2010年1月7日木曜日

潮汐による地震で巨大地震を予知

防災科学技術研究所の研究者 Sachiko Tanaka (田中佐知子?)氏の研究 ―― 巨大地震の発生が迫ると、同じ断層帯で潮汐をきっかけとする地震が徐々に増加する ―― が紹介されています:
記事を要約すると次のようです:
スマトラ島沖の断層帯(記事では「ユーラシア・プレートがオーストラリア・プレートの下に潜り込む場所」と書かれていますが逆だと思います)で発生した 1126件の地震を分析。

2004年末の巨大地震(インド洋大津波を引きおこした地震)が発生する前の数年間、潮汐によって引きおこされる規模の小さな地震が徐々に増加した。2004年の震源より南で発生した 2005年の M8.6 と 2007年の M8.5 でも同じパターンが見られた。

「震源域のひずみが、巨大地震が発生する臨界状態に近づいたとき限って、潮汐トリガーが現れるようになることを、解析結果は示している」と Tanaka 氏は “Geophysical Research Letters” に掲載される予定の研究報告に書いている。

別の言い方をすると、断層帯にひずみが蓄積され、いつ弾けてもおかしくない状態になったとき、潮汐力が小規模な地震を次々に発生させ始めるということである。

シアトルにあるワシントン大学の John Vidale 氏は、「実に勇気づけられる研究だ」、「彼女の見いだしたパターンはかなり明瞭だ」と語っている。

しかし、同氏は次のようにも指摘している。Tanaka 氏の発見は、ここ数年の間になされた他の研究者たちのものと同様に、多くの点で議論の余地がある。たとえば、これらの発見はスマトラや日本、台湾などの沖合にある沈み込み帯の断層にしか適用できず、他の多くの危険な断層 ― たとえばサンアンドレアス断層 ― は取り残され、以前として藪の中にある状態である。

潮汐トリガーによる地震は、将来、人びとを災害から避難させ数千の命を救うための強力なツールとなる可能性を秘めている。しかし、過去の地震をふり返って分析することと、地震を予知することは別物である。
潮汐が原因と見られる地震の増加を監視していれば、その付近で発生する巨大地震を予知できる可能性があるということです。

以前も書いたことですが、この種の研究成果が発表されると、トンデモ説を弄ぶ人たちが研究内容をよく理解することなしに、勝手な拡大解釈をおこないますので注意が必要です。今回の研究では、上記紹介記事に現れた記述に限っても以下のような条件が付けられています:
… tidal triggering may appear only when the stress in the focal region is close to a critical condition to release a large rupture …

過去の関連記事