2009年9月30日水曜日

サモア諸島南方で M8.3

サモア諸島南方の海底で今朝 2時 48分頃に発生した大地震(気象庁: M8.3、USGS: M8.0)では、震源近くの島々で津波による被害が出ているもようです。海外の英字ニュースサイトでは情報が錯綜していますが、現時点で報道されている最も多い死者数は 50人超となっています。サモア諸島では、津波で海岸の集落が丸ごと消滅したとか、津波がココナッツの木の高さに達したといった報道も流れていますが、定かではありません。

NOAA(米国海洋大気庁) 傘下の「太平洋津波警報センター」のサイトはつながりにくい状態が続いています。かわりに、アメリカのニュースサイトが転載した津波伝播図を以下にリンクします。主として北東方向と南西方向に向かって強い津波が送り出されたようです:
米国地質調査所(USGS)のデータによると、今回の地震の P波が東京に到達したのは地震発生から約 11分後の 2時 59分ごろです。Hi-net の連続波形画像で 2時台末から 3時台初めにかけて、多くの地点でこの地震によると見られる震動が記録されています。

Credit: U.S. Geological Survey

USGS が発表している震源位置が正しいとすると、今回の大地震は、トンガ・ケルマディック海溝の屈曲部で発生しました。同海溝は、ニュージーランドの東海岸から北北東に向かって直線的に伸びていますが、サモア諸島の南方に達したところで大きく西方向に曲がっています。この屈曲部の東側で、太平洋プレートに生じた正断層が今回の地震の原因と考えられます。正断層型の地震であることは、以下のページにある震源球のパターンでわかります:
トンガ・ケルマディック海溝では、太平洋プレートが東から西に向かって、インド・オーストラリア・プレートの下に沈み込んでいます。沈み込む際には、プレートは徐々に下向きに曲がるため、プレートの上面に近い部分には引き伸ばす力が働きます。この張力が正断層の原因になったと考えられます。

この地域のテクトニクスは非常に複雑で、海溝や海嶺などがフィジー諸島を中心に渦を巻くように分布しています。その様子は以下のグーグル・マップではっきりと見て取れます:
このように込み入ったプレート構造がどのようにして形成されたのかについては、いくつか仮説があるようです。その一つでは、白亜紀にオーストラリアからニュージーランドが分裂し、その間のタスマン海が拡大したことが主要な原因であるとしています (詳しい説明は長くなるので割愛)。