2024年4月19日金曜日

大地震発生直前に観察される電離層異常発生の物理メカニズムを発見

 
京都大学の 4月18日付の発表です:

「プレート境界面には、すべりやすいスメクタイトなどの粘土質が存在し、その粘土質の中にある水が地震発生前の高温高圧下で超臨界状態となり、電気的な性質が通常の水と異なり絶縁性となり、電気的特性が急に変化することで電磁気学的異常が生成することを初めて提案し、電離層への影響を大気の静電容量によりモデル化し、モデルから予測される生成電場の大きさと観測されている地震発生前の電離層の伝搬異常の速度変化が整合的であることを示しました。」

「本研究成果により、大地震発生前に観測された電離層の異常が、偶然のノイズによるものではなく、物理的な因果関係を持つ前兆現象である可能性が大きくなったと考えることができます。」

 
関連記事  

噴火続く — アイスランド (続報-2)

 
3月16日(現地時間)の噴火開始から 1ヶ月以上が経ちましたが、噴火は続いています。アイスランド気象局が 4月16日18:00付で発表したところによると ——
  • スンドゥヌクル(Sundhnúkur)火口列の噴火は続いている。スンドゥヌクルのすぐ東に位置する 1つの火口が噴火を続けている。

  • 溶岩はまだ火口の南側に流れているが、遠くには広がっていないため、溶岩は火口付近に溜まり続けている。

  • 噴火の開始以降、4月14日正午過ぎに小規模な群発地震がラガフェル(Lágafell)で始まるまで、噴火現場付近の地震活動は比較的穏やかであった。群発地震は 4時間以上続いた。

  • ファグラダルスフィヤル(Fagradalsfjall)の西側斜面では深さ 6~8km で地震活動が過去 4ヶ月間にわたって続いている。

  • 土地の隆起は続いており、4月初旬からその速度は安定している。

  • マグマ溜まりへのマグマの流入量は、3月16日の噴火開始前の約半分となっている。これは、深部から流入したマグマの約半分がマグマだまりに溜まり、残りの半分が地表に噴出しているためとみられる。
 

2024年4月18日木曜日

火星の「竜の鱗」

 
NASA の火星探査車・キュリオシティが4月14日に撮影した画像です。恐竜の皮膚の化石のように見えます:
《 この日の真の目玉はターゲット「ソーブレード」だった。ソーブレード(Sawblade)は上の画像の上部に沿って見えるブロックのひとつで、そのテクスチャーはチーム・メンバーによって「波状」、「タイヤ痕」、「竜の鱗」といった言葉で表現された。この12年間、火星では多くの層状の岩石を見てきたが、これらの岩石は、表面に刻まれた目まぐるしいパターンによって非常に際立っている 》
 
 

「余震」という言葉

 
気象庁は「余震」という言葉を使わないのだそうです。その理由は熊本地震のトラウマ ・・・
 

鯨類漂着と地震の関係性

 
NHKの記事です。2024年4月に「おはよう日本」などで放送された内容とのことです:
  「漂着と地震に関係があるとは考えていません。ただ、東日本大震災の前のケースだけでなく、2011年のニュージーランドで発生した地震の前にも、100頭近いクジラが漂着したという報告もあるんです。あれほどの大きな地震であれば、なにかしら影響があるかもしれない、というのは研究者の1人としても興味はあるので調べています。それでも、漂着する数や場所と地震の発生場所の分析から、地震に影響があるとする根拠はないのが現状です」(国立科学博物館・田島木綿子さん)
 
私が疑問に思うのは、検証に使用したデータベースに記録されている事例の多くは鯨類の死骸の漂着である点です。死骸は海流や風の影響を受けて流され、漂流する時間もさまざまなので、漂着場所や日時はほぼランダムになると考えられます。「特定の場所に偏っているわけではなく、日本全国で報告されています」というのは当たり前ではないでしょうか。そこから、「仮に漂着などが大地震の前兆だということであれば、日本全国で常に大きな地震が起きていないと整合性がとれません」と結論づけるのは飛躍しすぎだと思います。ノイズまみれのデータを使った検証と言うべきではないでしょうか。死骸の漂着を除外して、鯨類が生きた状態で能動的に座礁するなり、港湾に迷い込むなりした事例に限るべきだと考えるのは私だけでしょうか。



2024年4月17日水曜日

小惑星 2024 HA が月と地球に接近・通過

 
4月17日未明、小惑星〝2024 HA〟が月と地球の近くを通過して行きました。地球との相対速度が非常に高速でした。
 
2024 HA
(2024年4月16日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)4月17日 02:24
 (地球)4月17日 02:42
接近日時 誤差
(月)± < 1 分
(地球)± < 1 分
接近距離 (月)1.077 LD
(地球)0.040 LD
推定直径
1 ~ 3 m
対地球相対速度
19.5 km/s ≅ 7万 km/h
初観測から地球接近まで0 日
次の地球接近2025年4月4日ごろ
公転周期523 日 ≅ 1.43 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

2024年4月16日火曜日

小惑星アポフィス大接近まで 5年、覚悟はできている?

 
2029年の小惑星アポフィス(99942 Apophis = 2004 MN4)の地球大接近まで 5年を切りました。現在の予報では地球に衝突する可能性は極めて小さいとされていますが、同小惑星が衛星をともなっていた場合など、予想外のことが起きるかも知れません。接近時には肉眼でも見える明るさになると予測されています。
 
「アポフィス」は、古代エジプトの混乱と暗闇の神「アペプ」に由来するラテン語です。付与された小惑星番号 99942 もなんだか不吉な感じがします。
 
99942 Apophis
(2023年11月6日付予報)
接近日時(日本時間)
(地球)2029年4月14日 06:46
 (月)2029年4月14日 23:32
接近日時 誤差
(地球)± < 1 分
(月)± < 1 分
接近距離 (地球)0.099 LD
(月)0.250 LD
推定直径
     325 ± 15 m
対地球相対速度
7.4 km/s ≅ 2万7000 km/h
発見日2004年03月15日
次の地球接近2029年11月26日
公転周期324 日 ≅ 0.89 年
分類
アテン群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
 
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

民家直撃の物体は国際宇宙ステーションから、日本の責任は?

 

3月8日に米国フロリダ州ネープルズ(地図)の民家に落下し、屋根や2階と1階の床を突き破って、もう少しで住人に当たるところだった物体は、国際宇宙ステーションから投棄された部品であることが確定しました:

以下は、上記 NASA の記事の概略です ——

2021年3月、国際宇宙ステーションでは、電力アップグレードの一環として新しいリチウム・イオン電池の搬入と設置に続いて、老朽化したニッケル水素電池を含む貨物パレットをロボット・アームを使用して宇宙空間に投棄した。投棄された物体の総質量は約5800ポンド(2.6トン)。

物体は 2024年3月8日に地球の大気圏に突入したが、大気圏内で完全に燃え尽きると予想されていた。しかし、物体の一部は焼失を免れ、フロリダ州ネープルズの住宅に衝突した。NASAはその家の所有者の協力を得て物体を回収し、フロリダ州のケネディ宇宙センターで分析した。
 
分析に基づき、NASA はこの物体が、電池を貨物パレットに取り付けるために使用された飛行支援装置の支柱であると判断した。この物体は金属合金のインコネル製で、重さ 1.6ポンド(0.7kg)、高さ 4インチ(10cm)、直径1.6インチ(4cm)。

[注]インコネル: ニッケルに、クロム、鉄、炭素などを加えて、耐熱性と耐蝕性を高めたニッケル合金


民家の所有者は賠償を求めると言っています。問題の貨物パレットの所有者は米国 NASA ですが、国際宇宙ステーションまで運んだのは日本の JAXAの無⼈物資補給機「こうのとり」で 2020年5月のことです。宇宙損害責任条約では、「宇宙物体が地表において引き起こした損害は打ち上げ国が責任を負う」と定められています。JAXA が賠償を求められる可能性があるかも知れません。
 
 
関連記事
 

2024年4月15日月曜日

クマザサが開花 — 宮崎県宮崎市

 
宮崎県宮崎市本郷北方(地図) にある民家の庭でクマザサが花を付けました。3月下旬に一斉に開花したとのことです。

「花を咲かせるのは 60年に一度とも言われるクマザサ」:
 
 

小惑星 2024 GZ5 が月と地球に接近

 
 4月15日から 16日にかけて、小惑星〝2024 GZ5〟が月と地球の近くを通過します。非常に低速の小惑星です。
 
2024 GZ5
(2024年4月14日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)4月15日 13:43
 (地球)4月16日 01:47
接近日時 誤差
(月)± < 1 分
(地球)± < 1 分
接近距離 (月)1.06 LD
(地球)0.18 LD
推定直径
2 ~ 5 m
対地球相対速度
5.0 km/s ≅ 1万8000 km/h
初観測から地球接近まで1 日
次の地球接近2024年12月19日
公転周期493 日 ≅ 1.35 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。